新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

寄り添う


「今日は何時に帰れるの?息子が帰ってくる
からご飯を作らないとね…」

不安げな顔で呟く利用者さん。
スタッフはしばらくして答えます。

「ちょっと待っててね……」

事務所へ行き、帰ってくるとこんな風に。

「○○さんは今日ね、息子さんお仕事で
帰れないからお泊まりになってますよ」

と、事実をキチンとお伝えしている。

「あ~そうなの。じゃあよろしくお願いします」

と、会釈をしてまた席に着く。

しばらくして、、、

「今日は何時に帰れるの?
息子が帰ってくるからご飯を作らないとね…」

とスタッフへ聞いてくる。

スタッフは答えます。

「○○さん、さっきも言ったけど息子さん、
お仕事で今日は帰ってこれないから、
ここに泊まっていくんですよ、、、
大丈夫ですから」

と答えます。

この続きがどうなったか?はご想像に
お任せしますが、果たしてこれは傾聴に
なるのですか?
もしくは寄り添いになるのでしょうか?

この方は認知症があり、既にご自宅に息子
さんはいなく、遠方で家族で住まわれてます。
そしてこの方が、今日は泊まり、であるのも
事実なのでスタッフが嘘を言ってる訳では
ありません。

ただ考えてほしいのです。

利用者さんが何故スタッフに聞くのか?
聞かれた時に利用者さんが
何を考えているのか?

理由を述べて、丁寧に事実を述べる。

これが悪いとは言いませんが認知症の症状が
ある以上、この対応では利用者さんは
なかなか落ち着かないケースが多いのです。

スタッフがこの利用者さんの立場に
例えたらこうなります。

仕事で嫌なことがあった。
夜になってもイライラが収まらずに友人に
電話をします。

ここまでが利用者さんの最初の言葉の状態。
帰らないと、、、という場面です。
で、続きを利用者さん対応ですると、

電話をされた友人はこんな風に言います。

→それは相手が悪いわね。だけど私に
 愚痴っても何にも問題解決にならない
 から、明日キチンと話したらいいわ。

となります。

こんなのをいきなり友人に言われてどう
思いますか?果たして納得いくでしょうか?
きっとこんな対応を期待してませんか?

→それは大変やったね。気持ちわかるわ~
 私もね、会社で色々あって腹もたつけど
 普段あなたに愚痴聞いてもらって
 スッキリするから助かるのよ。
 明日から大変だろうけどまた何かあれば
 愚痴くらい聞くからいつでも言ってね!

みたいなことで、その時のイライラが
少しでも解消したらホッとするわけです。

利用者さんも同じなんだと思うのです。

帰れないこと、ひょっとしたら分かっている
かも知れません。分かっているんだけど、
誰かにちょっとだけでも聞いてもらえたら
しばらくは同じようにホッとして
落ち着かれるかも知れないのです。

そしてこのように、
少しだけでも利用者さんの今の思いを
聴いていく事が傾聴であり利用者さんの
気持ちに寄り添うと言えるのだと思います。

 

放浪後の一言:寄り添うのって大変です


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