「現場を知らない」
現場を知らないのにあれこれ言わないで!
というフレーズはよく聞かれるのです。
この話の次のやり取りは、じゃあ施設長の仕事を知らないのに現場が私に何にもしないとか言わなきゃいい!
いわゆる水掛け論ですが今回はこっちでなくちょっと違う視点からです。
研修などで話をされる方の話は現場で働く人からしたら、
あ、この話はなるほど!が多く共感できる。あ、確かに本当にそうそう。
というような話には良い評価をします。
一方、制度や倫理、事務などの内容になると
そんなのは分かってるんだけどそんな教科書どおりにいかないんだよね。
机の前で仕事している人がいう話だわ。
というような話には不満を表現します。
こうして見ていくと、自分たちと同じような苦労をしている人、
代弁してくれる人、肯定する人には賛同するわけです。
一方、普段の業務には一見関係ないことや聞いたからと言って毎日の仕事の大変さが変わらない、
話の内容をそもそも自らの勉強不足で分からないからつまらない、
考えることをしない、したくない、だから批判的な意見を言ったりします。
「あれは現場をやってない人の話だ」と。
またこんなのも最近不思議に感じます。
ある自施設が有名となりその内容を講義できくことが出来た。
聞いてきたスタッフらの感想はほとんどが感動、目から鱗、共感と言っていました。
もしくは言ってるんです。
あるスタッフさんは、
「あんな人が私達の上司なら嬉しい」
なんてことまで言っていたりします。さて、これって本当にそうなんでしょうか?
仮に色々な縁がありこの有名な方の元で働くことになった。
きっと本人にすれば明るい未来ばかりが頭の中を駆け巡っていくわけです。
ところが働き始めたらそのスタッフは結果、疲弊して辞めていくケースが案外多いのです。
考えなきゃいけないのは、なぜ希望の施設にいけて希望する人の元で働けたのに辞める結果になったのか?
幾つかの理由はあるのです。
普通、研修などで自施設の事をあれこれ話す場合、おかしな事を赤裸々に話す事は少ない事。
話す方に対するイメージが先行しているので判断基準が感情的、一極集中的である。
有名だから、世間が評価しているから安心、流行だから、周りが皆そうだから、で選ぶ。
もし自分の上司が有名な方と同じ取り組みをやろうよ、と話があった時、素直に賛同出来ますか?
もちろん上司、法人との関係性が良好、普通ならば賛同、検討に至ると思いますが、
関係性が良くない、不信感があった場合、それでも取り組み内容に共感して実践して行こうと思えるでしょうか?きっとそんな時はこんな風にいうのです。
「施設の現場、現状も知らないくせに理想ばかり語ってるんじゃないよ」
「やった事もないのにどこかの研修で聞いてきた内容をスライドするだけなら誰でもできるわ」
「現場を知らない人が言うセリフだよね」とまあこんなもんでしょう。
もちろん本当に無茶苦茶いうような方が存在する事は知っていますが、人は案外内容、中身より話し手、周りの評価等でその良し悪しをする事が多いものです。
その理由として、
「感動した話ほど現場で実践しない」事が多いのです。
出来ない理由の大半は
「法人がさせてくれない」
「上司が理解してくれない」
と他人が悪い、ということ。
でもね、感動した話や取り組みの中にも、法人や上司に関係なく出来る事は沢山あるでしょう。
本当に良い話だ、取り組みだ、と言うのならぜひその一部を自らがやってみるべきです。
やらないから、研修マニアとか資格マニアなんて言われたり
受講が趣味でしょ!みたいに冷たいセリフを心ない人らに言われてしまいます。
こうやって考えてみたら、果たして「現場を知らない」のは誰なんでしょう?と思います。
現場が現場を知り、有名無名、評価や流行に振り回される事なく、
しっかりと考えて、一緒に働くスタッフの中から共感者を探して自らが出来る事を実践しながら今の場所で自らにしっかり磨きをかけていく事です。
そして取り組み、中身をきちんと見て判断してそれが良ければ誰が先頭に立ってもやっていくのが組織で働く以上必要とされる事だと思います。
納得が出来ない人がいるから転職という言葉が存在します。自らの責任で行うなら何も問題はないのです。だから転職には理由が大事だと思います。
大切な事は、
今の現場を施設の視点からしっかりと知る事。
現状から出来る事を考えていく事。
出来る事をするためには今のやり方を何度も見直しをしてより良い方法に変えていく事。
本当に現場を知ると言うことは、毎日ちょっとずつ変化している現実と向き合いながら自らが変化も出来る素直さをしっかり持ち続ける事だと思います。