新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

「介護の魅力発信」について思うこと


厚生労働省が平成30年度の概算要求で、介護のイメージ刷新などの事業に11億円の予算を計上するとの発表がありました。

11億円・・・

すごいけど、どうなんだろう???とちょっと疑問に思っています。

 

というのも、これまで、介護のネガティブなイメージをポジティブに変えようとする取り組みはたくさんなされてきました。

人材確保にはまだまだ課題山積ですが、介護に対するイメージを変えることには、ある程度の成果もあげてきているとは思います。

介護のイケメン・美人グランプリにエントリーされる方みなさんも、本当に素敵でカッコいい。

それでも、大きな予算をつけて、国家主導でイメージ刷新を!

。。。と謳われると、どうも期待が持てないのです。

 

「満面の笑みで利用者さんと楽しそうに語らうの図」に、今や見慣れ過ぎてしまい、飽きた・・・というのもあります。

表面的な描写というのもあるし、もっと重い現実もたくさんあるのにそれを見せないようにする描き方に嘘っぽさを感じ始めた人も私だけではないようです。

ネガティブ ⇒ ポジティブ

という魅力発信の構図に、そろそろ限界が来てるんじゃないかな?と思う今日この頃。

 

少し前になりますが、「まなざし」という介護がテーマの映画を観ました。

なにも、こんなに暗く描かなくても・・・というくらい重苦しいのです。

排せつ介助と食事介助の繰り返しだけなのに、そして、この設定自体、現代社会のダークサイドてんこ盛り過ぎて自分と重ねてみるのは難しそうなのに、なぜか人ごとじゃなく思えてくるのです。息継ぎをするのも忘れそうになるほど引き込まれていき、見終わった後の余韻も半端じゃない。

そんなすごい映画です。

この映画の主人公はベテランの介護職員なのですが、それでも父親の在宅介護で疲弊していくのです。

この映画を観て、思いました。

介護のイメージを変えようとするのであれば、イメージそのものを「ネガティブ⇒ポジティブ」に描くことより、これからは介護は介護のプロに任せよう、という意識を広めることの方が、間接的だけれども近道なんじゃないかな・・・と。


About the author

五十嵐 紀子

未来の介護福祉士が現場実習で学んだこと、教室で学んでいることのあれこれを、コミュニケーション研究者がつづります。介護の世界は驚き・感動・発見もりだくさんのワンダーランド。介護におけるコミュニケーションの難しさとおもしろさ、介護職のカッコよさを伝えます!