新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

義母を看取って② 「アロママッサージというコミュニケーション」


義母がいない初めてのお正月を迎えました。喪中ではありますが、今年もお正月料理を家族で囲むことにしました。

新年、何かとバタバタするところですが、義母のことをいつもより思うお正月、少しずつ記事にしていきたいと思います。

 

義母が入院した11月中旬、私は、一年前と同じように、施せる治療はないかもしれないけど、また家に帰れるはず。今は具合が悪いとき。ただそれだけ・・・と信じていました。

でも、非情にも毎日毎日、義母の容体は目に見えて悪化していきました。というより、我慢強い義母はそれまでも痛みや苦しみは相当なものだっただろうに、私たちの前では大丈夫と笑顔を見せて、心配させないようにしていたのでしょう。ですが、それに限界が来ているのは、日に日に明らかでした。

痛みに顔をしかめることも多くなってきた頃、義母にアロママッサージを提案してみました。

 マッサージをお願いしたのは、がん患者支援のチャリティーイベント、リレー・フォー・ライフで実行委員として一緒に活動をしている大山朋子さん。「病で苦しむ方々に、少しでも心と身体が楽になるようなアロマケアを」を大きな理念のひとつに掲げたNPO法人アロマリンクステーションの代表をされています。看護師の臨床経験もある方なので、その点でも安心してお願いできました。

これまでの義母だったら、よそ様に足を揉んでもらうなんて申し訳ないとか言って断っていたかもしれませんが、今回は、にっこりうなずいてくれました。

今までだったら自分から痛みを訴えることをほとんどしなかった義母が「痛みが取れるなら何とかしてほしい」とやっと助けを求めてくれたようにも思え、不思議なのですが少しホッとした気持ちになりました。それと同時に、痛みなどの苦痛が我慢の限界を超えているんだろうな、と苦しみを代わってあげられない無力さに切なくなりました。

 どうやって義母に寄り添えばいいのか、わからない。でも、寄り添いたい。。。

でも、今になって思うと、私が義母に寄り添っていたんじゃなくて、「何かしないではいられない、何かさせて」という動揺した私の気持ちに義母が寄り添ってくれてたんじゃないかとも思えてきます。

 アロママッサージの施術を受けている義母の表情はとても穏やかでした。苦痛でこわばった表情がふっと和らいだのを見て、私を含め家族みんながどれだけ救われ、癒されたことか。アロママッサージは、施術を受ける本人だけでなく、一緒にいる家族にとっても癒しでもあるということを身を持って学びました。

このことを、授業で学生たちに話したところ、ある学生が「同じようにがんで苦しんでいる家族がいる友人がいます。教えてあげたいです」と授業の振り返りとしてコメントしていました。必要な人のところに必要なことが届きますように。

アロマリンクステーションの皆さま、本当にありがとうございました。


About the author

五十嵐 紀子

未来の介護福祉士が現場実習で学んだこと、教室で学んでいることのあれこれを、コミュニケーション研究者がつづります。介護の世界は驚き・感動・発見もりだくさんのワンダーランド。介護におけるコミュニケーションの難しさとおもしろさ、介護職のカッコよさを伝えます!