新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

『頑張らなくていい』の誤解


さて。前回の続きです。

 

前回の記事を読んだ方の中には

 

『そんなこと言っても、お年寄りは毎日頑張ってんのよ!
それなのにこれ以上頑張らせてどうするつもりなのよ!』

 

って思った方がいるでしょうね。

 

異論はありません。

 

お年寄りは体が効かない中、一生懸命頑張ってると思います。

 

若い頃に比べたら、全然体が利かなくて、ちょっと動けば
すぐに疲れてしまい、体の節々だって痛いかもしれません。

 

もしかしたら僕たちの価値観で言う『調子が良い日』なんて
ないのかもしれませんね。どこかしら悪いとこってありそう…。

 

だって年とってんだもん。

 

…。

 

じゃあ頑張らせないほうがいいのか?って話です。

 

考えてみてください。

 

『お義母さんはもう年なんだから、私がしときますよ~』
っていう風に、在宅で言われてきたのではないでしょうか。

 

嫁に『お義母さんは何もしなくていいですから!』とか
息子に『頼むから動かんで!かえって仕事が増えるから』
とか、役立たずの烙印を押されてきたのではないでしょうか。

 

それが原因でボケちゃったって話をよく聞きますよね。

 

『在宅では面倒見切れなくなった』方々なんです。

 

『不本意に頑張らせてもらえなかった』方々なんです。

 

『頑張ってきたのに評価されなかった』方々なんです。

 

年をとったからこそ頑張ろうとしていたというのに
誰からもそのことを認めてもらえなかったってことです。

 

頑張ろうとしている人に対し『無理しなくていいよ』とか
『肩の力抜いて大丈夫』とかって一見正論に聞こえますが。

 

相手の努力をしっかり認めないことには
その言葉って相手には伝わりませんから。

 

『頑張っている自分』を他人から評価されてるって
実感しているからこそ響く言葉なんですからね。

 

そもそも、要介護状態になったお年寄りが
そんな実感を持っていると思いますか?

 

頑張らせない、無理をさせないのは誰だってできます。

 

だって在宅ではしていたことなんだもん。

 

で、そういう方法でお年寄りたちはどうなりましたか?

 

施設に預けられたでしょ。

 

可哀想な姿になっていったでしょ。

 

で、専門職である僕たちもまた『頑張らなくていい』
なんて気休め的な言葉を伝えたらどうなりますか?

 

もっと可哀想な姿にしていく気ですか?

 

次にいくところは天国ですか?地獄ですか?

 

僕たちもまたその人を必要としないのですか?

 

迷惑かけないように頑張って生きているお年寄りに対し
『頑張らなくていい』と伝えるってどういう意味だか分かりますか?

 

『もう死んでもいいってことか…』

 

『ここでも俺はお荷物なのかな…』

 

『ああ、私は姥捨て山にいるようなものね…』

 

『人様に迷惑ばかりかけて死んだほうがマシよ…』

 

それでもあなたは…。

 

お年寄りに死への引導を渡す気なのですか?

 

介護短歌

『頑張れ』や
『頑張るな』とか
言う前に
まずは相手を
認めることから

 

前回も追記していますが
『ただ頑張らせる』のでは
虚しいだけですからね。

 

↑ここが一番大事だったりします。

 

まずはその人そのものを必要としてください。
頑張っているお年寄りをちゃんと認めてください。
高齢者だからって役立たずって思わないでください。
『何もしなくていい』なんて気休め言わないでください。

 

それをした上で。

 

本当に心が疲れているときには
『無理しなくていいんですよ』
って言葉をかけてあげてください。

 

相手がこちらに認めてもらえてる実感があってこそ
『頑張らなくていい』の言葉は輝きを増すのですから。


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