新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

『無理させない』の誤解


立つとふらつくから車椅子に

痛みがあるから安静に

トイレはツライだろうからオムツに

むせるからミキサー食に

手が動きづらいだろうから食事は全介助に

足が痛いから体交枕は浅めに

疲れるから手伝いさせないように

 

こんな対応、介護じゃなくたってできますから。
介護が素人感覚で仕事してどうするんですか?

 

もちろん『無理させないこと』が大切な場合もありますが。

 

でもそればっかりの対応じゃすぐに衰えていきますから。
そういう対応で弱っていった年寄りをどれだけ見てきたことか。

 

もう年だから可哀想…とか職員に言われ安静を促され
実際にはもっと可哀想な姿になっていった年寄りたち…。

 

いったい何が正しいんでしょうかね??

 

…。

 

僕はちなみに障害者です。(両下肢不自由)

 

僕、頑張らなければ普通に生活できませんから。
こうやって介護の仕事をするためには頑張らなきゃ。
てか。障害を抱えた以上、その頑張りははずせませんから。

 

それが僕にとっての普通のことですから。

 

こんな僕に。

 

『そんな無理してまで介護続けなくてもいいんじゃね?』
って、もし誰かが言ったら、どうなると思いますか?

 

僕はたちまち引きこもっちゃいます。生き甲斐を失っちゃいます。

 

足が不自由だろうが、痛かろうが、頑張りたいんですよ。
そうやっていかなきゃ、生きてる意味ないじゃないっすか。

 

『無理しなくていい』って言うくらいなら、むしろ…。

 

こんな僕でも必要としてください。
頑張っている僕をちゃんと評価してください。
障害者だから役立たずって思わないでください。
無理しなくていいなんて気休め言わないでください。

 

そうしてくださるのであれば
僕はいくらでも頑張れちゃいますよ。

 

それか…。

 

「こうすれば介護続けられるよ」って痛くない方法を教えてください。
「介護じゃなくてもこんな仕事あるよ」って新しい生き甲斐を僕に下さい。

 

そういった提案すらできないくせに
「無理しなくていい」なんて言わないでください!!

 

…。

 

脱線しました、すいませんwww

 

 

つまり。

 

痛みがあるからだとか、させるのは可哀想とか
何かあったらどうするの?とか言い訳つけて
その時だけの対処法で、その場だけの感情論で
『無理させない』だの『安静指示』だなんて…

 

それは偽善です。

 

子供にねだられたら何でも買ってあげる親みたいに
そのときだけの『願い』を叶えて自己満足してるだけ。

 

実際その人のためになってませんから!!

 

 

無理しなくていいんですよ~。
あなたは何もしなくても
生きてるだけでいいんですから~。
私たちがお手伝いしますからね~。

 

むしずが走ります。

 

体裁の良い謳い文句で健康食品売りつける業者のように
そのときだけ綺麗事並べて自分の偽善を押し付けてるだけ。

 

絶対そんなんじゃ元気になりませんから!!

 

 

怪我したことあるからだの、痛みがあるからだの
高齢だからだの、無理させるの可哀想だからだの
まぁ言いたいことは分かるが、そのこと自体が
その人が『何もしなくていい』理由になるのかよ?

 

可哀想の基準、間違っています。

 

「うちのワンちゃんは犬じゃないわ!家族よ!!」って言い、服着せて
抱っこして散歩する飼い主のように、ただの愛玩道具として扱ってるだけ。

 

その人の明日は、もっと可哀想な姿になりますから!!

 

 

『無理しない』でどんどん衰えていくくらいなら
僕は多少なりとも『頑張る』ほうがいいと思います。

 

でも。

 

ただ頑張らせるだけじゃ苦痛になるかもなので
『自然と頑張りたくなる』環境を作ることが大切です。

 

『無理させない』から『頑張りたくなる』への転換へ。

 

ふらついてもいいじゃん!転ばないよう守ります!

痛みが軽減できるよう注意しますから起きてみましょう!

ツラくないよう痛くないよう、トイレ介助させてください!

暇にしないように僕が楽しませますからあっち行ってみましょう!

 

などなど。

 

無理をさせず、何もさせないんじゃなく
せっかく習得した介護技術なんだから
それを駆使して、苦痛を軽減しながら
危険を回避しながら介助に望むべきです。

 

頑張ったっていいじゃないか。生きてるんだもの。

 

介護短歌

無理させず
素人判断
する介護
施設は寝たきり
量産工場

 

ただ『頑張らせる』だけではダメですよ。
頑張った先に何もなければ虚しいだけだし。

 

自分でできることは自分で(自立)

何か楽しみがある(生きがい)

何かやりたいことがある(目的)

誰かや何かの役に立つ(役割)

誰かに必要とされている(存在価値)

頑張らない日があっても良いゆるさ(自由)

 

などが『頑張る為』に必要な要素です。

 

『頑張る』っていうよりも
『自然に力や意欲が沸く』
方向にもっていく!みたいな。

 

その支援があってこそ介護は光るものだと思います。

 

 

追伸。

 

あまりに頑張らせすぎると燃え尽きちゃう場合があるので
たまには甘えたり息抜きがあったりも必要かとも思います。

 

要はそのバランスの見極めだったりして。

 

※次回に続きます。(3回連載です)


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