新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017
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寝たきり老人さんの身体に起きていること ⑭ 褥瘡の発生2:褥瘡の予防~治療


 げ、また半年経ってる、、(^_^; 日常業務の他に「○○までにこれを準備して□□にはこれをする」というのが続くと、どうしても『いつでも良いブログ』は後回しになってしまいます、が、やはり閲覧されているようなので改めて、褥瘡の2回目です。

●褥瘡と言えば「エアマット」?!
介護保険制度が始まって福祉用具のレンタルサービスが導入され、在宅場面でも介護用ベッドやエアマットが普通に使われるようになりました。そのおかげもあるのでしょう、前回に上げたような『深刻な褥瘡』は在宅でもなかなか見られなくなりました。まだ色々と問題のある介護保険制度ですが、私はこの一点だけでも介護保険制度が始まって良かった!と思います。ただ、、
褥瘡の予防や治療にこんなに効果的なエアマットですが、だからと言って、エアマット敷いたからOK!とはいきません。エアマットにはエアマットの「副作用、悪い面」があるので、それを理解して可能ならば副作用対応策をとらなければなりません。

※エアマットに臥床させると「局所の除圧=褥瘡の予防治癒」には効果的でも、全身的に筋緊張が更新し、拘縮が悪化します。

 これについては、確実なエビデンスがあるわけではありません。ただし、多くの現場スタッフさんが感じていることでもあり、また下記の対応で(副作用の)予防改善が図られることからも間違いないと思います。
エアマットは除圧しかしてくれません、逆に、身体をしっかりとは支えてくれません。例えば下肢に軽い屈曲拘縮があって「立て膝」状態になっていると、曲がり立った下肢は簡単に横に倒れてしまいます。下がふかふかなだけでしっかり支えてくれないからです。ところが曲がった足が横に倒れると骨盤も一緒に回旋して、骨盤から体幹に捻れが生じます。すると、途端に呼吸が苦しくなります。苦しくならないためには体幹全体の筋緊張を高めて回旋変形を防ぐように頑張るしかありません。こんな風に、エアマットに寝かされた身体は緊張を高めていくのです。

 この副作用の予防のためには、『エアマット上で生じている骨盤から体幹の変形をできる限り取り除き、その上で除圧すべきところ(仙骨面等)は除圧しつつ、支えるべきところはしっかりと支えて、ふかふかのエアマット上でも良い姿勢で安定させる = エアマット上で臥位ポジショニングを行う』となります。実際のやり方はいずれ(^_^;

●褥瘡予防のためには「エアマット」+「臥位ポジショニング」でOK?
いやいや、臥位ポジショニングも大事なのですが、他にも色々とあります。先回の「褥瘡発生要因~原因」に上がっている全ての項目に配慮が必要、となります。思いつくまま上げると、「エアマット上での体位交換の行い方」「ベッド~車椅子(ストレッチャー)間の移乗の仕方」「(やるとしたら)ベッド背上げの行い方」「おむつ交換や衣服交換時の、介護者の手の使い方」などなど、全てが褥瘡発生の原因となり得ますし、だからこそ一項目ごとに配慮が必要です。
例えば体位交換がらみでちょっと残念なお話しを紹介しましょう。『寝たきりレベルの方で、PTが一生懸命に下肢関節他動運動を受けている人ほど褥瘡が多い』というお話しがあります。なぜか?イラストをご覧ください、この状態で下肢全体を曲げ伸ばしすると、そのたびに仙骨面の皮膚が引っ張られます。マットに押しつけられながら、です。すると皮膚がこすれて褥瘡になる、という訳です。それを防ぐためにはどうしたらよいか?下肢関節他動運動をする際には、仙骨面とマットの間にスライディングシートを挟むようにすれば良いのです。

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 このように褥瘡の予防と治療のためには、褥瘡そのものの状態をしっかり把握すると同時に、「その方が置かれている状況」全体をもれなく広く俯瞰する視点がどうしても必要になります。


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