新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017
無題1

寝たきり老人さんの身体に起きていること ⑬ 褥瘡の発生1:褥瘡への認識


※褥創?褥創?
「褥創」と表現すれば、『局所の傷』という認識になります。「褥瘡」と表現すれば、『全身状態の問題』という認識になります。私たちは面倒でも、『褥瘡』を使いましょう。

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※褥瘡の原因は「圧迫とズレ」?!
褥瘡ができてしまうその直接原因は、皮膚表面に対する「圧迫とズレ」であることは間違いありません。ただしでは、どうやって「圧迫とズレ」を無くすか?できた褥瘡にどんな治療/処置を行おうか?と、『褥瘡しか見ない』のは、褥瘡ではなく「褥創」として扱っている、ということです。皮膚表面に直接発生原因である「圧迫やズレ」がなぜ生じてしまうのか?要介護高齢者さまの生活全般を広く俯瞰してみて、褥瘡の発生要因を幅広く感じ取らないといけません。図は、その見方の一例です。

※褥瘡評価表~発生リスク評価表の考え方、扱い方
褥瘡に関する評価は2分野あり、一つは「発生リスク評価」、もう一つは「重症度/治癒過程評価」です。このうちの発生リスク評価には、以下のようなものがあります。

・ブレーデンスケール Braden Scale
・厚生労働省の「褥瘡対策に関する診療計画書」を使用した評価表
・OHスケール(大浦堀田スケール)
・K式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測尺度)

 これらのリスク評価表の詳細はここでは触れませんが、共通してそれぞれに複数のチェック項目があり、チェックされた項目が多ければ多いほど褥瘡発生リスクが高い、と判定されるようになっています。

 ところが時に、すべてのチェック項目をクリアしているのに褥瘡ができてしまう、治らない、ということが起こります。それはなぜか?私はこれを「エビデンス化~単純化の弊害」と考えています。
それぞれの評価表を開発された先生方は、数多くの症例を検討し、多くの症例に共通して確認される褥瘡の発生原因・発生要因を抽出して、チェック評価項目として整理されているわけです。これは褥瘡発生原因についての「エビデンスの確立」ということであり、同時に「単純化」ということです。その意義は、とても大きいものです。
しかし同時に、各リスク評価表に表現された「単純化された原因/要因」がすべてではありません。そして私たちの目の前にいらっしゃるのは「平均化された姿の高齢者」ではなく、「あくまでもその人“個人”」です。上述の「褥瘡の発生原因/要因の概念図」で示したように、発生原因/要因は多岐に渡ります。リスク評価表が満点なのに褥瘡ができてしまったその方は、リスク評価項目はクリアしていてもこの多数の「発生原因/要因」のどれかが起きているのですね。
「リスク評価表は全クリアしているのに褥瘡ができるなんて、この人、おかしい!」なんていうのは、本末転倒の代表ですね (^_^;


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