新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

「ヒヤリ・ハット」を「にやり・ハット」に変えよう案


皆さんの職場には【ヒヤリ・ハット】ってありますか?

「突発的な事象やミスにヒヤリとしたりハッとしたりするもの」

ヒヤリ・ハットとは、文字通り,重大な事故に至らないものの
直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいいます。

重大事故が発生する前には多くのヒヤリ・ハットが
潜んでいる可能性があり、ヒヤリ・ハットの事例を
集めることで、重大な事故の予防ができるのです。

…でもね。

【ヒヤリ・ハット】って言葉を使うから
事故防止に躍起になるんぢゃないか!

現場でありがちなヒヤリ・ハット。

そしてありがちな問題提示と対応策。

無断で外に出る。

人員不足、玄関の施錠

いつもは立たない人が立っていた。

立とうとしたら声かけ、立つ前に介助

歩けないはずの人が歩いていた。

行動前に発見、移動は車椅子で!

トイレ介助が必要なはずなのに一人で行ってた。

ちゃんとコールしてもらう、転倒の危険を説明

一人でベッドから降りようとしてずり落ちた。

巡回の徹底、ベッド柵の設置

いつもは大人しい人が転倒した。

見守りの強化、不穏時は薬の服用

ミキサー食のくせに隣の人の食事を食べた。

誤嚥の危険性の再確認、座席の検討

分かります。そうしたい気持ちは分かるけど。
これで事故は防止できるかもしれないんだけど…

なにかが違います。
どこかおかしいです。

だって、事故防止策ばかりで
その人の気持ちや、行動の
真意が反映されないんだもん!

だから、僕はここで【にやり・はっと】を推進します!

たなかいご流【にやり・はっと】の定義

【にやり・はっと】とは、職員の目を盗んだり、職員が手を
貸さないというのに、利用者自らが自分の意思で動くこと。
その意志とは裏腹にうまくできなかったり、失敗しちゃうことも
あるけど、本人の努力に思わず『にやり』としてしまうエピソード。

無断で外に出る。

これってすごいことじゃね?どこまで行くの?にやり。

いつもは立たない人が立っていた。

なんだ、立てるじゃないですか!いっそ歩いてみては?にやり。

歩けないはずの人が歩いていた。

え?歩けるんだぁ!すごいっすねぇ!にやり。

トイレ介助が必要なはずなのに一人で行っていた。

よく頑張りましたね!手伝いはいらないですね!にやり。

一人でベッドから降りようとしてずり落ちた。

惜しい!もうちょっとだったのにぃ。にやり。

いつもは大人しい人が転倒した。

ついに本性出しましたか!元気になってください!にやり。

ミキサー食のくせに隣の人の食事を食べた。

え?食べれるの?じゃあ食事形態アップしましょっか!にやり。

ほらね。

たしかに事故と隣り合わせだけど…。
考えてみたら本人なりに一生懸命
頑張ってやってる行動じゃ~ん。

事故を考えれば『ヒヤリ』とする場面だけど
その人の思いや努力を汲めば『にやり』って
微笑ましいエピソードになりはしませんか?

『にやり』とすればこっちものです。

外に出る行動をどう支援しようか考えます。
その人がどうやったら立てるか考えます。
どうしたら一人でトイレに行けるか考えます。
どうやったら次の行動ができるか考えます。

鍵を閉めるだの
巡回を強化するだの
ベッド柵をつけるだの
服用する薬を検討するだの
立つ前にコールを押してだの

安易でその場しのぎな対処にはならないはずです。

だって、その人自身のやりたいことを認めて
その人を信じて『にやり』と微笑むわけだから。

そして、皆が【にやり・はっと】を出したくなります。
だって大発見だもの。【ヒヤリ・ハット】みたいに
事故の一歩手前のニアミスじゃないんだから。

ある意味お手柄になるのです。お手柄が結果的に
事故防止につながり、対応は肯定的なものになります。

『ヒヤリ』を『にやり』と変えることで、対応がポジティブに
なり、本人の意思や主体性を尊重するケアに変わります。
その場しのぎ的な対応から行動支援へと変わるのです。

どうですか?あなたも今日から『にやり』としてみませんか?

介護短歌

大発見
事故対策から
行動支援
ヒヤリ・ハットを
にやり・はっとへ

職場に笑顔が増えると思います。


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