新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

ステージアップ論


人は皆、人生というステージに立っている。

と、僕は思っています(笑)

お年寄りは最終ステージといったところかな。

(ちょっと失礼か…)

不本意ながら介護を受けているお年寄りたち。

もしもこれが最後の舞台なら
そこに携わるスタッフとして。

周囲から拍手をもらえるような
周囲の人から評価されるような

そんなステージにしてあげたい。

そう思いませんか?

せっかくの人生なんだもん。

そのほうがその方にとっての価値は上がります。

てなわけで「ステージアップ論」です。

介護を受けているお年寄りは、少なからず
そのことに対しコンプレックスを持ってたり
人様に迷惑をかけているって思っていたりと
自分のことを価値のない人間と感じています。

ステージだだ下がりですよね。

ましてや。

寝起きのままで髪がぼーぼーだったり
失禁ばかりしてオムツを当てていたり
何日もお風呂に入ってなくて臭かったり
拘縮がある意味芸術的な形になっていたり
車椅子に座らされてる感が丸出しだったり

ステージどころの騒ぎじゃないですよね。

そんなステージなんて…

できれば近づきたくないし
誰も見たいなんて思わない。

有り得ますよね。

「そんな人も受け入れるべき」ってのも分かるんだけど
それは福祉に従事する人の独特の感覚、綺麗事であって。

周囲の人から見れば、実際には敬遠したり避けたり
はたまた無視したり差別したりがあるのが現実です。

悲しいことにそれが現実ですから。

そうなってくると、自然と

介護職とお年寄りが閉鎖的な関係になります。

「何もしなくても私が味方ですよー」

「失禁してもオムツ当てるからいいじゃん」

「別に車椅子でもいいじゃないですかー」

「介護がいるからとりあえず大丈夫www」

これじゃお年寄りのステージがアップするわきゃない。

コアなファンしか寄り付かんですよ、そんなステージじゃ。

家族の面会が減ったり、来てもすぐ帰ったり
フロアにいても隣の人が話しかけなくなったり
この人の隣に座るの嫌!って言う人が出てきたり
しっかりした人がボケた人の文句を言い始めたり

現実に起きていますよね。

介護士というコアなファンしか寄り付かない現象が(泣)

そしてコアな介護士は、閉鎖的なその環境を
自分と相手が信頼関係で結ばれたと勘違いして
ゆるい言葉遣いでお年寄りと接し始めます。
そこには尊敬の気持ちは微塵もありません。

舞台の奈落に突き落とされるようなもんです。

閉鎖的な関係ってホント怖いですね。

 

もっと怖いのはそんな状態のまま人前に出ることだったりして。

髪がぼーぼー。
オムツ当てたまま。
風呂に入らず臭いまま。
目ヤニついてて服はヨレヨレ。

普通あり得ないでしょ。

舞台が整ってないというのに
世間に公表しようだなんて。

でも、コアな介護士は閉鎖的なもんだから
そんなことを気にせず周囲にさらしちゃいます。

もう公開処刑ですよね。

舌噛んで死にたくなるレベルですorz

そして世間の目は

「やっぱり施設に入っちゃなんねぇな」

「認知症になったらおしまいだな」

「ああは絶対になりたくない」

になってしまいます。

悲しいことにそれが現実ですから。

 

僕は思います。

介護サービスを利用するからこそ
お年寄りは価値ある存在に蘇ってほしい。

介護職が携わるからこそ
元気になっていってほしい。

お年寄りのステージアップを目指してほしい。
つまりはその人の価値を引き出してほしい。
他者から賞賛を得るステージであってほしい。

だって僕たちは。

その人の人生というステージに
関わっているスタッフなのだから。

介護短歌

人生の
最終ステージ
飾るべく
介護がすべきは
栄えある舞台を

認知症がひどくて周りから敬遠されてるあの人を

落ち着かせてください。

髪がボーボーでみすぼらしいあの人を

綺麗にしてあげてください。

いつも失禁してオムツ当ててるあの人を

トイレに連れてってください。

臭くて周りから馬鹿にされてるあの人を

ちゃんとお風呂に入れてください。

拘縮していきそうなあの人を

寝たきりにさせないでください。

仏頂面で周りから煙たがられてるあの人の

笑顔を引き出してください。

周囲とうまくしゃべれず浮いてるあの人の

思いを代弁してください。

廃用症候群が著しいあの人の

機能を維持してください。

自分のことを卑下しているあの人の

価値を見出してください。

表情を失いつつあるあの人の

希望を取り戻してください。

その人の価値を上げていくことで
他者からの評価を上げ、賞賛を得る。

これぞステージアップ。

「落ちていく機能をありのままに受け入れる」
なんて慈善じみた綺麗事で済ませるんじゃなく。

「むしろ元気にして華麗なステージに!」
ってのを目指してもらいたいものです(笑)

価値あるステージを演出できれば
周囲からの評価がアップするとともに
その人自身の自信につながるのだから。


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