前回は、
「専門職にはそれぞれに、専門職が専門職であるその根本のところ/無意識レベルで、前提条件としての思考の枠組みや価値観があり、それを“パラダイム/専門図式”とよびます。そして、医療と介護の“パラダイム/専門図式”は、少し食い違いがあるかもしれませんよ。食い違いがあると、そもそも相談や議論が成り立ちません。」
というお話をしました。では、どうするか?の前に、もう一つ確認しておかないといけないことがあります。
生活支援の場のパラダイム/専門図式とは?
自然科学やそれに基づく専門的なサービスは、科学的であるためにパラダイムとして、「客観性」「再現性」「数値化」「合理性論理的」「要素的機械的な見方」といったことを尊重していることは間違いありません。ところが介護や生活支援のパラダイムは、「科学的であることが全てではない」ということも間違いなさそうです。
では、介護/生活支援のパラダイムとはどのようなものでしょう?どうもそれがあやふやなんですね。極端なことをいうと『何でもアリ』という世界です。何でもアリなんだけど、やっぱり芯を通す一本のスジはあるとも思います。介護のパラダイムは、医療のパラダイムよりも広大であやふやなものです。
そうなると介護スタッフさんは、強固なパラダイムを持っている医療職さんに「いや、そうじゃなくてこうでしょ!」と“医療流”を押し付けられそうになっても、明確な反論ができません。なにせその医療職さんの言っていることは“科学的には絶対的に正しい”ですからね。その結果、例えば甘いものが大好きなお爺さんが糖尿病を発症しているからとお饅頭やチョコレート菓子を一切禁止され、「食べたい、一口でも食べたい!」と嘆きながら最期の時まで迎えてしまう、といったことが起こります。
上野さん@福井の介護おやじさんのまとめの一例
自立:他立:成長:依存ということについて全体として捉えると同時に
この図一枚からでも色んな考察が広がりますね