もう少し呼吸絡みのお話を、、
前回は、「ヘンな姿勢のまま放置され続けると腹式呼吸が抑制され、胸式呼吸筋が活動し緊張し始める。その代表が胸鎖乳突筋」てことを書きました。その続き。呼吸のお話しから、だんだん身体の変形・拘縮のお話が絡んでいきます。
胸鎖乳突筋の頭蓋骨に対する作用
胸式呼吸筋の大代表格は胸鎖乳突筋さんですが、私自身はリハビリテーション学院の1年生の1学期に「運動学」の授業で『胸鎖乳突筋の作用は頸椎の屈曲』である、と習いました。しかし実際にはそんな単純な話ではありませんね。胸鎖乳突筋が胸郭を引っ張り上げようとして呼吸補助筋として作用する、ということです。
また、頸椎の屈曲についても頭蓋骨には屈曲以外の作用をします。イラストを確認してください。胸鎖乳突筋の作用として頸椎全体は前に倒す(屈曲)ことになりますが、同時に頭蓋骨を『前下方に引き下ろす』ということになります。つまり、『頸椎が屈曲しながらの“顎だし”姿勢になる』という事です。
寝たきり老人さん方の頭がそっくり返ってしまうのは、これが原因と考えられます。つまり、
・・苦しい不良姿勢で放置
・・↓
・・腹式呼吸の抑制
・・↓
・・呼吸の浅薄化と胸式呼吸の惹起
・・↓
・・胸鎖乳突筋の緊張継続
・・↓
・・胸鎖乳突筋の作用として頭蓋骨が顎だし姿勢に
ということですね。寝たきりで頭が反りかっている方々の、頸の様子をよく観察したり触って確認したりしたことはありますか?皆さん頚がカチカチになっています。そこに手を当ててマッサージしてあげても意味がありません、「呼吸するために硬くなっている」のですから。
でも、やむを得ずそのままの姿勢(頸椎屈曲の顎だし姿勢)でいると、連鎖反応的にまだ不都合なことが起きてきます。もう少し小分けに次回。
ちなみに、この素晴らしい画像は「セラピストサークル」さんから、です。http://therapistcircle.jp/ あまりの素晴らしさに管理人様に連絡申し上げ、使用引用の許可を得た上で様々な場面で説明のために使わせていただいています。