燕弥彦西蒲食支援ネットワークの高井です。
本日のテーマは「モグモグしていても噛んでいるとは限らない」です。
最近、介護施設からの依頼で続いたケースでもありますので、これはぜひ皆さんにもお伝えする必要があると思い投稿しました。
(お困りごとの内容は)
・噛んでいるがいつまでも飲み込まない
・くちにいれたものを吐き出す
・飲み込みにくそうに食べている
・上記の様子のために十分な食事量を摂取できない
わたしが診たケースでは、いずれも口腔・嚥下機能と食形態の不一致でした。
食形態を検討するうえで、歯はどのくらい残っているか、歯がなくても入れ歯を使っているかなど、くちの中の状態は大切な指標です。しかし、歯があるから、入れ歯を使っているから、すべてのひとが食べ物をかみ砕けるわけではありません。
しっかりかみ砕くためには歯や入れ歯の有無だけではなく、くちの運動機能も重要です。くちの運動とは歯の上に食べ物を保持したうえで、上下の歯で細かくすりつぶすという動作です。その様子が下の図です。(わたしが書いたイラストなので下手ですみません)
このように、かみ砕くためには頬や舌、唇を上手に使う必要があります。噛んでバラけたものをくちの動きを使って集めてまた噛んでを繰り返します。わたしたちは無意識のうちにそれを行っていますが、口腔機能の低下が原因でこの一連の動作ができなくなることもあります。また、かみ砕けないために原形のまま丸のみしているケースも多く見かけられます。常食に近い形態を丸のみすることは食べ物による窒息が心配です。
飲み込みの検査である嚥下内視鏡検査では、くちに入れたものがどのような形態でのどに運ばれて、それをどのように処理をするかを診ますが、かみ砕くことができるかどうかだけを大まかに判断する方法もあります。
食事中、ある程度噛んだところでくちの中を見てください。くちに入れる前の形態より細かく砕かれ、それがくちの中に広がっているようであればおおむね心配はいりません。しかし口腔機能が低下し、うまく噛めていないひとのほとんどの場合は、原形に近い状態で舌の上にちょこんと乗っています。これは歯の上に食べ物を移動させることができず、本人は噛んでいるつもりでも、実際には噛めていないのです。
噛んでしばらくして吐き出すひとは、飲み込めずに吐き出していることが多く、食形態の再検討が必要です。それでも飲み込んでいるひとは丸のみしている可能性が高いです。