今回は海外の文献(を日本語に訳したもの)から学んだことについて書こうかと思います。
介護職と看護職は、仕事として似ている部分とそうでない部分があります。
個人的には、業務独占かどうかで違いが大きいと考えていて、あまり看護職の人材育成などに関心を持っていませんでした。
通っている大学院の先生から読め読めと言われて、それでも読まなかったら本を(無理やり)貸してくれました。
パトリシアベナーという…
読んでみると確かに勉強になりますね…うん、とっても勉強になります。
ベナーは看護職の成長モデルとして、「ドレイファスモデル」と呼ばれる技能習得モデルを使い、看護での適用を試みます。
(ドレイファスモデルとは、ドレイファス兄弟が発表したチェス競技やパイロットなど、ある分野の技術にきわめて高いレベルの習熟度をしめした人たちの成長を5段階に分類したモデルです)
↓これがドレイファスモデル
段階 | 一言 | 内容 | |
第1段階・・・初心者 | レシピが必要 | 経験をほとんど持たない コンテクストに左右されないルールが与えられれば仕事を遂行できる 学びたい意欲はそれほどない |
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第2段階・・・中級者 | 全体像を見たがらない | 独力で仕事に当たれるが問題処理に手こずる ほんの少しだけ決まったルールから離れられる 情報を手早く入手したがるが、理論・原則は望まない(私には関係ない) |
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第3段階・・・上級者 | 問題解決ができる | 問題を探し出し解決する、但し細部のどの部分に焦点を合わせるべきかの決定にはさらなる経験が必要 チームの指導者的役割、初心者への助言、達人のサポート |
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第4段階・・・熟練者 | 自己補正が可能 | 十分な経験と判断力を備える 自己改善、他人の経験から学ぶ、格言を理解しうまく適用する能力を備える(例:パターンを効果的に適用) 何が失敗につながるか分かる |
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第5段階・・・達人 | 直感で動く | 膨大な経験があり、上手に引き出しぴったりの状況で応用できる 理由があってそうするのではなく、直感に従って行う(「正しいと感じた」) 本質に関係のない部分と重要な部分の区別が無意識下でできる |
※図はhttp://www.02.246.ne.jp/~torutk/seway/dreyfus.htmlからの引用
その結果、看護師もドレイファスモデル同様に「初心者」から「達人」までいくつかの段階を経て成長していることが明らかになったのです。
↓ベナーはドレイファスモデルをもとに看護師の成長モデルを構築
※http://www.jns2013.jp/future-of-nursingからの引用
介護職の成長の段階も、このような感じだろうと思います。
第2段階あたりでとまってる人も多いのではないか?と思います。
自分が介護職やってたときも、第2段階でとまってたのかな。
せめて第3段階までいけば、新人育成もうちょっとちゃんとできたのかなと今になって思います。
ベナーは「初心者に対するオリエンテーション・プログラムやインターンシップの改善は、初心者の離職を防ぎ職場生活を改善するための有望で効果的なアプローチである」とか、他にも色々いいこといってくれてます。
あと「看護の危機」という本あわせて読みました。 勉強になったことは
1)日本と海外のサービスの評価基準には大きな違いがある。イギリスなどいくつかの国では利用者・患者も評価に参加する
2)アメリカには看護師目線で病院を評価する基準がある(マグネット・ホスピタル)
3)患者ケアアウトカムの改善(利用者への質の高いケア)が、看護師の不満足度を改善させる
4)大規模な大学病院では、対人関係上の軋轢を繰り返し経験する場合にその本人(看護師等)にカウンセリングを受けることを要求している
5)健康的な職場環境づくりのために必要な要素(AACCN) :①巧みなコミュニケーション、②協働、③効果的な意思決定、④適切な人員配置、⑤意義ある認識、⑥本物のリーダーシップ
6)看護業界発展のために必要な取り組み:①看護全体の一致団結した努力、②これまで蓄積した実践の根拠を知的に活用、③政治活動
まだまだ色々書いてありましたが、大きくとらえるとやっぱり学ぶべきところが大きいです。
ちなみに日本もアメリカも、看護師不足の改善のきっかけは、待遇と労働環境の改善だったそうです。
教育も大事ですが、順番としてはやはり待遇・労働環境の改善が先なんだろうと思います。
ただ、介護職の待遇改善のためには、
「介護職は価値ある仕事をしているんだよ!」を、どんどん発信して社会的に認められるかどうかが大事だと思います。