新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

介護保険の利用者はお客様か



※あくまで私見です
 利用者と職員の関係はどうあるべきか。私は「お互いを尊重し対等な関係である」ことが理想だと思っています。そうすることが利用者・職員の両方を守ることにつながると思うからです。

 介護保険施行以来、一部の法人や介護事業所は「ご利用者はお客様」という考え方のもと、サービスを展開してきました。確かに、介護保険事業は利用者から利用料を頂き、必要なサービスを提供する事業であるので、そういう意味ではサービス業と言えます。
しかし、その目的は「利用者の尊厳保持と自立支援」であり、利用者の利用者の意向(デマンド)に沿ったサービスを提供するだけでなく、自立支援につながるケアを提供する事が求められています。この部分をすっとばして「ご利用者はお客様」という考え方を重視して介護事業をすすめていくと何かしら弊害が出てくるのではないでしょうか?

たとえば
・利用者の意向に沿ったケアが、却って利用者の心身の状態を悪化させてしまう
・対等な関係でないことが意識されると、介護職員へのハラスメントがおこりやすくなる
・利用者の意向に沿わなければならないことで仕事が増えて職員の心身の負担が増大する、
などが考えられます。介護職には優しくて素直な方が多いので、尚更「利用者と対等な関係である」ことを意識してもらうことは大事な事です。

ただ、対等な関係の構築の前に「相手を尊重する姿勢」を持つことが大前提です。
ここが人によってはとっても難しいところなんだろうと思います。
職員にしてみれば、様々な障害・疾患を持った高齢者に対しての関わりの難しさがあり、
利用者にしてみれば、時には望まない行為や行動を強いてくる職員へのネガティブな反応がある。
だからこそ、介護職は高齢者理解を学ぶ必要があり、気持ちよく仕事していけるようアサーションを学び、実践していくことは大事な事なんだろうと思います。

そもそも日本って、サービス業全体が意識高すぎの状態がずっと何十年も続いていて、それがあたりまえになっているところを、もっと見直す必要があると思うんです。
丁寧に接客しすぎることが逆にクレーマーを増やしているような部分もあるのではないでしょうか。看護師と患者、介護職員と利用者、コンビニの店員さんとお客さん。本来、みんなもっと対等な関係でいいんだと思います。
以上

追記①
今回のブログを書いた理由です
1.「心理的安全性」の本に感銘を受けた
2.その後、研修中に受講生から質問を受けた(「職員と利用者が対等でいいんですか?」)
3.更にその後、イギリスの庶民の店の接客態度がまあまあ悪かったのを思いだした
4.更に更に、伊丹十三の「ヨーロッパ退屈日記」という本に日本のデパートの包装の丁寧さ、イギリスのデパートの包装の雑さ、のエッセイがあったのを思い出した
5.以下のツイートがとても印象に残ってた

 


About the author

斎藤 洋

新潟県在住|介護現場の人材育成支援|介護福祉士・社会福祉士・学士(心理学)・修士(社会福祉学)・日本社会事業大学大学院博士課程在学中| https://twitter.com/hiroshithenet

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