新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

ストレスチェック制度を介護施設へ導入する場合の注意点


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今回は、介護職のメンタルヘルスの課題について書こうと思います。

2014年にストレスチェック制度が導入されて、多くの介護事業所で、この制度に沿って従業員のメンタルヘルス施策が実施されるようになりました。

職場において定期的なストレスチェックを行い、その結果に従って、

「セルフケア(自分自身でのメンタルヘルスケア)」と

「ラインケア(上司から部下に対してのメンタルヘルスケア)」を行っていくというのがこの制度の概要ですが、いくつか課題があると感じています。

ひとつめは、高ストレスと判定されても、基本的には「セルフケア」で対処するしかないという点が課題です。(検査結果は基本本人に対してしか知らされないので)

高ストレスだと判定されても、基本的には自分自身で何とか対応していくしかないのです。

本来、会社組織においては、高ストレス者を特定したら「ラインケア」につなげることが大事なんですが、

ストレスチェックではここが出来ないんです。

しかも、「セルフケア」について、充分な知識を持っている方が少ないです。

ということは、メンタルチェック導入に合わせて、

「セルフケア」について最低限の知識を職員さん全員に周知しておかないと、

この制度を導入してもなんの効果もないということになってしまいます。

ふたつめの課題です。

質問項目には「患者・利用者」との関係についての質問は入っていないので、

医療福祉系の職種にはちょっと不向きな部分があります。

利用者との関係に悩みがあっても、そこは明らかにできないです。

対人サービス向けの質問項目の追加が必要だと思います。

みっつめの課題です。

高ストレス者として、どのような人がスクリーニングされるのかという問題です。

ストレスチェック制度では、「うつになるほど責任が重い」「やりきれないほど仕事量が多い」みたいな状況に

陥りそうな方をあぶりだすことを目的としています。

介護現場の高ストレス者とは、ちょっと想定している対象が違う気がします。

辞めたい気持ちがやや強くなっているくらいの方々がわかって、そこに必要な支援が届けばいいなと思うんですけどね…

ということで、

ピーエムシーのメンタルヘルスに関する研修では、

ストレスチェック制度がサポートしていないんだけど、

対人援助職のストレスに関して必要な部分はどこか?

ということを考えて研修を行っています。

短い時間でできるのは、個々のストレス状況のチェック、性格傾向のチェックと簡単なアドバイスくらいです。

まず大事なことは「自分はストレスが溜まっているのか」「溜まりやすい性格か」を自己覚知してもらうことですので、ここをしっかりやります。

そしてストレスコーピング(自分のストレス対処法のクセ、それ以外のストレス対処法の説明)まで説明、

ここまで理解でしてもらえればまず第一段階OKだと考えて研修をやっています。

具体的には講義+グループワークで

①「バーンアウト尺度」でストレス測定→ストレスコーピングの説明

②「エゴグラム」で個々の性格特性をチェック→ストレスの溜まりやすい方へのアドバイス

という感じです。

面接実施にあたっても、色々ポイントがあるんですが、

そのあたりはまた次の機会に書こうかと思います


About the author

斎藤 洋

新潟県在住|介護現場の人材育成支援|介護福祉士・社会福祉士・学士(心理学)・修士(社会福祉学)・日本社会事業大学大学院博士課程在学中| https://twitter.com/hiroshithenet

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