新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

プロティアンの概念は介護業界で生きる我々にどのように役立つのか?


【はじめに】
自分の専門分野は、介護人材の育成、特に「新人育成」と「リーダークラス人材」の育成と考えています。自分の専門分野に関して新たな知見を学びたいと思い、論文を読んだり本を読んだり、SNSをみたりしています。最近、Twitter を眺めていると、タイムラインに「プロティアン」という聞きなれない言葉がよく出てくるようになりました。これなんだろ?と気になっていたところ、あるフォロワーさんがおすすめ本を紹介してくださったのでさっそく読んでみました(『プロティアン-70歳まで働き続ける最強のキャリア資本術-』田中研之輔,2019)、以下にその概要と感想を書きます。

【本の概要】
「プロティアン」はこれまでのキャリア論を基に、アメリカボストン大学経営大学院の、ダグラス・ホール教授という方が1976年に提唱した概念のこと。「変化し続ける、変幻自在な1人2役を演じる」という意味があり、プロティアンキャリアとは「変幻自在に形成するキャリア」のことです。要するに今の時代(ポスト終身雇用)の新しいキャリア論です。


キャリア論について、今までシャインとか金井壽宏さんの本を少し読んだ程度でしたが、この本は誰が読んでも分かりやすい!すらすらよめました。このプロティアンという考えが、介護業界で生きる我々にはどのように役に立つのか?私は、業種に関係なく、今どきの40代、50代皆が読むべき本だなと感じました。
この本には「組織に頼らずに自分軸で生きていくことの大切さ」が書いてあります。
自分軸がどれくらいあるのか?という疑問は「プロティアンキャリア診断(29ページ)」や「資本分析(94ページ)」のあたりを読んでいくと自己理解を深めることができます。
【参考】https://passnavi.evidus.com/article/trend/201909/
【参考】https://business.nikkei.com/atcl/forum/19/00015/082000010/

【考察】
完全に私見ですが、介護職の職場環境(働きにくさ)について、自分のせいというよりも、「上司や施設長のせいでこうなっている!」と考えている方が結構多いように思います。
そこは正直、すごく理解できます。しかし、それならばどうすれば良いのか?不満を抱えながらそのまま働いて行くのか?
仲間を見つけて職場を良い方向に変えていくために頑張るのか?それとも諦めて現状を受け入れて働き続けるのか?結局は自分次第です。ならばどう行動に移せばよいのか?


そして、他業種と同じように介護業界もまた職員の高齢化が進んでいます(現在介護職員の平均年齢は確か45歳前後だったと思う)。体力の必要な介護の仕事では、50歳を過ぎると仕事がきつくなってきます。
他業種と同じように介護職もまた、安定した仕事であり続ける事が難しくなっています。


もともと介護の業界には、「給料はたくさんいらな、安定した仕事をしたい、仕事に人生を捧げたくない」というような思考の人が(自分も)多いと思いますが、特に今の40代~50代の我々は、これからの社会の変化を予測し、適応できるように変わっていかなければいけないのかな~と思いました。

本に書いてあることをすべてそのまま受け入れるのは正直ちょっと厳しい部分もありますが、それでも70歳まで現役で働いていくために、自分のキャリアを改めて考えようと思いました(特に「社会関係資本」)。

最後に、現状いまのままではだめ!ということならば、我々はどうしていけばよいのか?162ページの「6つのプロティアンキャリアのモデル」を参考に、介護職のプロティアンキャリアを考えてみました。考え方あってんのかな?もし何かご指摘があればぜひお願い致します!

【介護職のプロティアンキャリア】
(1)介護職の壁を越えて新たな挑戦をする
本の中では「トランスファー型プロティアンキャリア」または「セルフエンプロイ型プロティアンキャリア」となっています。例えば「看護師になる」「介護タクシーを起業する」「福祉用具専門相談員に転職する」などがあります。


(2)介護の知識技術に別のスキルを掛け合わせる
パソコン やSNS、写真や語学(英語やベトナム語)など、いわゆる「クロススキル」を掛け合わせて新たな立場や地位を獲得するタイプ。これは「ハイブリッド型プロティアンキャリア」に該当すると思います。最近介護系の YouTuber なんかも結構増えていて、Twitter にも介護職でフォロワー数が何千人の方もいます。おもろい発信がたくさんあります。


(3)オーソドックスに自分の専門分野を深めるタイプ
大学院に行ったり教員になったり、これらは「プロフェッショナル型プロティアンキャリア」に該当すると思います。大学院なんかに行くと畑違いの職場の人がいたりして結構面白かったなと思うし、自分の業界を俯瞰して眺められるきっかけになると思います。


(4)あえてパートの立場で複数の施設に勤務する
最近 Twitter でよく見るのが、正職員としてではなく、複数の施設の契約社員として掛け持ちで働いている方。夜勤専従で仕事をしたり、フリーランス的な働き方で介護の仕事をする。これは「コネクター型プロティアンキャリア」に該当すると思います。介護業界にはなんとなく真面目な人が多くて、自分の所属している組織でやるべき仕事を粛々とやっている人も多いように感じます。しかし、最近ではそこを超えていろんな挑戦をしている人もいます。こうした「新しい働き方」を通して、新たな介護の仕事の働き方の可能性を色々と切り開いていけたらいいなと思いました。

【まとめ】
私は(2)と(3)のいいとこどりで今後10年ちょっと頑張ってみたいと思います。プロティアンという概念は、介護職員にとっても「生き方・働き方」を考える上でとても重要だと思いました。個々人が変わることで、組織も変化すると思います。これからの中堅職員教育に、ひとつの視点として入れていけたら面白いな、と考えました。


About the author

斎藤 洋

新潟県在住|介護現場の人材育成支援|介護福祉士・社会福祉士・学士(心理学)・修士(社会福祉学)・日本社会事業大学大学院博士課程在学中| https://twitter.com/hiroshithenet

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