新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

介護リーダーの負担感と完全主義


 現在ある法人で「チームマネジメント研修」という研修プログラムを実践しています。毎月1回、3.5時間×6回の研修です。テーマは自己理解、他者理解、そしてチームのアセスメント⇒目標設定⇒実行⇒評価サイクルの実践です。
 毎回研修終了後に感想を提出してもらい、時に課題を課したりするのですが、研修が進むにつれて「課題が負担です!」という意見が聞かれるようになりました。
 感想や課題を書くのににどれくらい時間がかかっているんだろう、と思い聞いてみたことがありました。早い人は10分、長い人は30分以上とか、大きな差がありました。
 提出までに時間がかかってしまう原因は何だろうと考えたとき、人によっては「完全主義」「完璧主義」が強すぎてなかなか提出できないというケースがあるように思います。
 「完全主義」と「完璧主義」このふたつの用語は、ほぼ同じ意味で使われているようで、ググると色々解説が出てきます。

「完全主義」
 完全主義は心理学の用語で「過度に完全を追求する傾向の事」と定義されています。
完全主義は抑うつ、不安などの不適応と関連していることが知られており、論文によっては他者への攻撃性などとの関連を述べているものもあります。
 http://counseling.st/hr/terms/terms350.html

「完璧主義(かんぺきしゅぎ、英: Perfectionism)」
 万全を期すために努力し、過度に高い目標基準を設定し、自分に厳しい自己評価を課し、他人からの評価を気にする性格を特徴とする人のこと 。 定められた時間、限られた時間の内にて完璧な状態を目指す考え方や、精神状態のことである。
https://www.weblio.jp/content/%E5%AE%8C%E5%85%A8%E4%B8%BB%E7%BE%A9#:~:text=%E5%AE%8C%E7%92%A7%E4%B8%BB%E7%BE%A9%EF%BC%88%E3%81%8B%E3%82%93%E3%81%BA%E3%81%8D%E3%81%97%E3%82%85,%E7%8A%B6%E6%85%8B%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

 完全主義が強すぎると、自分自身のストレスへの影響だけでなく、周りの人々に対しても悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。 

 例えば入所、通所系サービスのようにチームで行う仕事では、「どこまで完全な仕事をするか」の基準がチームの仕事量に影響します。「完全志向」の強い人がリーダーになった日は一つひとつの仕事を丁寧に行わなければならないために仕事に時間がかかり、「仕事のムラ」「ムリ」につながる可能性があります。リーダーは、合格基準を「自分の基準」に合わせるのではなく「チームの基準(その日のチームの状態や人数や能力を勘案して合格基準を調節する)必要があります。

 厚労省が取り組んでいる「介護分野における生産性向上」の資料を色々と見ていくと、「マスターラインの引き直し」という文言が出てきます。一日一日の介護現場のサービス提供のレベルを、その日の状況によってコントロールする、という考え方です(https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-seisansei.html)。
 

 以前、あるリーダーが業務に入るときに「その日のメンバーや利用者の状況をみて、今日は頑張る日、とか、今日は無理しない日、ということを決めてその日のメンバーに伝えている」と話していたのを聞いたことがありますが、自分基準ではなく、客観的な基準のことを考えていて素晴らしい!と思いました。
 

 ピーエムシー研修の中ではエゴグラムやエニアグラム等のツールを使ってみんなで自己理解を深めることに挑戦しています。「完全主義」の知見をふまえると、ここでもっと自己理解を深められるかな、と思いました。


About the author

斎藤 洋

新潟県在住|介護現場の人材育成支援|介護福祉士・社会福祉士・学士(心理学)・修士(社会福祉学)・日本社会事業大学大学院博士課程在学中| https://twitter.com/hiroshithenet

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