ある従来型特養でのエピソードです。
今年度、新人女性職員Aさんが新卒定期で入社してきました。
Aさんはどちらかというとおとなしく控えめな性格です。
一方、この施設の主任Bさんは40代男性で、声が大きくて元気な感じの方です。
実はAさん、B主任のことが苦手だと感じています。
威圧感を感じるそうで、仕事中に見られていたりすると、緊張して仕事どころではなくなってしまうそうです。
新人Aさんの働きやすさのために、ちょっとB主任には話しておこうかな、と考えて、面談の時間をとってもらいました。
「B主任、良い話でなくて恐縮なんですが、実は新人Aさんがあなたのことを怖いと感じているようなんです」
私がそう話しはじめるとB主任の様子が変わりました。
笑顔(苦笑い)になり、声が大きくなり、体の動きが増えました。
「そうか、そうなのかもしれないですね」
「でもそんなつもりまったくないんですけどね」
「意識したことなかったからなあ」
といった言葉を繰り返し、
何が問題だったのかということになかなか気づけない、理解できない様子でした。
そこで、もう少し具体的なこと話した方がいいのかな、と思い
「例えば新人の前での腕組みや足組み、大きい声等が新人に圧迫感を与えているかもしれませんよ」と具体例をあげて話すと、そうか!という感じの表情で理解してもらえた様子。
無意識に相手に威圧感をあたえるというのは、そういうことなのか…と何度も話されていました。
このB主任は自施設の職員のレベル向上のために色々と勉強している方で、介護技術を指導する資格等も取得されています。
しかし、対人援助職の仕事においては、いくら知識技術を学んでも自己理解できていなければ職員との信頼関係構築が難しく、せっかくの知識・技術も伝わりにくくなります。
知識や技術ももちろん大事なんですが、前提として自己理解の大切さを学ぶ必要があることを、改めて感じたエピソードでした。