今年度も、施設に講師を派遣する新潟県の事業
「キャリア形成訪問支援事業」
絶賛訪問中です。
県内どこでも伺ってます。
先日は、「事例から学ぶ・利用者の適切な支援研修」
を、ある社会福祉法人で実施してきました。
ここの法人は、高齢者だけでなく障がい者福祉もやっていて、
研修には50名くらいの職員の方々が参加してくれました。
この研修のテーマは、
「入浴してもらえない」
「食事をなかなか食べてもらえない」
「家にかえると何度も立ち上がる」
など、主に認知症のご利用者への適切な対応をみんなで考えること。
研修のゴールは、
「HOW TO(どうしたらいいか)」ではなく、
「WHY(なぜこうなっているのか)」
を考えるのが大事なんじゃないか、
ということに気付いてもらうのが目的です。
(あたりまえで恥ずかしいですが…)
事例を挙げてもらい、
模擬カンファレンスを行います。
模擬カンファレンスは、
スーパービジョンの手法を参考に
①事例の提示
②共有化(色々質問を出し合って事例を深める)
③当事者の理解 (本人はどう思っているのか?を考える)
④今後の方向性の検討
という順序で行います(研修では①~③まで)。
3つ目のステップ「当事者の理解」では、
ご利用者の思いに焦点をあてて、色々とみんなで意見を出し合うのですが、
当事者の思いをリアルに考えるためには、
②の共有化の段階が大事です。
よいカンファレンスにするためには、
ここでメンバーが良い質問をして、
必要な情報を共有することがポイントになります。
当事者の普段の様子。家族の関わり。入所までの経緯。生活歴。
良い質問が出ても答えられず、「意外と答えられないねー」という声が多く聞かれます。
大事な情報を知らないままケアを行っていることに気付きます。
セクションによって、職員の考え方が違うことにも気づきます。
深く考えないまま、
いつのまにか「ルーチンワーク」になってしまっている。
お風呂に入れるのが、介護の仕事。
食事をなるべくたくさん食べてもらうのが、介護の仕事。
事故のない安全な生活をしてもらうのが、介護の仕事。
たしかにこれなら何も考えなくてもいいし、
やることも決まっているので、
職員の都合で時間通りに仕事ができます。
しかし、これが続くと、
「何も考えない介護」になってしまうだけでなく、
ルーチンワーク以外の仕事に対する「やらされ感」
が強くなってしまい、新しい取り組みや、
新人職員の指導などの大事な仕事に対して
「仕事が増えるのは嫌だ!」と言いやすい困った状態になってしまいます。
認知症のご利用者に対して、いつものやり方を試してみて、
もしうまくいかなかったときにどう対応するか。
現場で話し合って、ケアの考え方を色々と変えてみて、
うまくいったらそれをみんなで共有する。
職員が一人足りないとき、
みんなで工夫していつもと違うやりかたでなんとかのりきる。
介護経験の全くない新人を受け入れて、長い目で育てる。
これから先は、
これらの課題に色々な方法で対応できる柔軟な組織になることが大事だと思います。
歴史ある、伝統ある、離職率が低い、組織は
今後もしかしたら一気に大変になるかもしれません。
この研修は、色々やってる方も気づきが多くて楽しいので
もっともっと実践を重ねていきたいと思っています。
いつも経験学習を意識して仕事してます!