新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

間延びさせていることに気づかない人たち


IMG_5700.JPGおむつ交換や、食事の準備など、作業やケアのスピード感は、施設によって全く違い、甘いところでは、自分の未熟さにも気づけない、という話です。
 
 
僕の今の仕事は内部研修の講師、会議の参加、現場スタッフの面談が中心ですが、時々、利用者(お客様)の移乗技術のアドバイスや、書式の確認などで、ユニットにお邪魔することがあります。
不機嫌な態度は許しませんが、現場のスタッフに無理をさせない、というのが僕のモットーなので、あまりケアの方法や、作業に関して、本人が悩んでいなければ、何も言いませんが、たまに現場のスタッフの動きを見ていると、『ちょっと作業が遅すぎませんかね』と思うことがあります。
 
 
利用者(お客様)のペースに合わせる、ということなのかも知れませんが、それにしても、利用者(お客様)とは関係ない準備と後片付けの段取りや、手間がかかっているように見えることがよくあります。
 
 
ゆっくりとやっている施設は、そのペースが通常であり、それ以上早く作業をする必要がないのです。
 
本当は、準備や後片付けなどは早く終わらせて、利用者(お客様)との会話や、自立支援的なケアにその時間を当てればいいのですが、
会話で本人の意欲を引き出すこと、リハビリ的な訓練や、ケアの方法などを知らなかったり、必要性を感じない職員にとっては、利用者(お客様)に何をしたらいいかわからないし。
やれと言われたところで、できないのです。
 
そこで、介護職員は何するかと言えば、『間延び』をさせるのです。
時間をかけて、準備や後片付け、掃除をするのです。
シーツ交換、ゴミ捨て、記録類の処理、などを時間をかけてやるのです。
 
そうすることで、利用者(お客様)にかける時間をなくすのです。
 
 
レクはできない、コミュニケーションはできない、本来のユニットケアができないと言えるのです。
あげくに人が足りない!と言い出すのです。
 
介護職員さんたちも、自分の作業スピードが遅いなどとは思わず、そういうものだと思い込んで仕事をしているので、早くするなどという発想はないのです。
 
早くやれば疲れるし、利用者(お客様)のところに行かなきゃいけないし、めんどくさいし、何したらいいかわかんないし。ってことになるのです。
 
これは難しいです。
利用者(お客様)のところに行って、立位の訓練をするとか、移乗動作の訓練をするとか、思い出話をして意欲を引き出すとか、って興味がないとやれませんからね。
寝たきりで入所された利用者(お客様)が、訓練によって歩けるようになった、という体験を持っている職員ならまだ可能性はありますが、そういうポジティブな回復を見た経験がない人にとって、自立支援という言葉はピンと来ないのです。
だから病院などの急性期を経験することとか、(特に従来型の)老人保健施設でバリバリやってた職員さんなんかは、積極的なアプローチができるのです。
回復する可能性を知っているから。
 
消極的な先輩のケアしか知らない、回復した事例を知らない職員にとって、残存機能を活用するケアなんか、わかっているようで、わからないのです。
知らないから、間延びさせて利用者(お客様)のところに行かないのです。それが証拠です。
でも間延びさせていることにも気づいていないのです。
だから厳しいのです。
 
あるショートステイで、職員が全員9回づつ夜勤をやるくらい人員が不足している施設があります。
5年以上前からお付き合いのある施設でしたが、当時は人員も充足していましたが、その時の職員の質は低かったです。
意欲も低い、知識もない、技術も甘い、簡単に休む職員さんが多かったです。
今は、人員不足のため、かえって職員のスキルが上がったそうです。
職員同士の余計な私語はなくなり、休憩中でも利用者(お客様)の話題で情報交換をして、休むこともなくなり、当時の頼りないスタッフが今では、リーダー候補になっていました。
その陰には、優れたリーダーの根気のあるフォローがあったからこそですが。
 
今、人材不足と言われていますが、もしかしたら、現場のスタッフのスピードを上げるトレーニングになるのではないでしょうか。
スピードを上げることは悪いことではないのです。
 
 
もう一つは、余った時間を利用者(お客様)と向き合う時間に使うことです。
そのためには、スピードを上げつつ、リハビリテーションマインドを学び、立位訓練や、歩行訓練、移乗など、支える方法、訓練方法を学ぶことをおススメします。
 
ちなみに、スキルマトリクスでのスピードの基準としてあるのは
①リネン交換=14分以内(リネンを取る→新しいリネンをかける)
②ベッドメイキング=9分以内(新しいリネンをセットする)
③パッド交換+清拭=4分以内
④おむつ交換(モレ)+衣類交換=19分以内
⑤寝たきりの方の特殊浴槽での入浴(脱ぐ→入浴→着る)=30分
 
です。これは従来型の施設の介護職員さんたちから、いろいろと聞きながら発見した基準です。
※ちなみに④は14分以内にヘルプを求めることもアリです。詳しくはそのうち。
人材が不足している施設の方は、自分のスキルを上げるチャンスと思ってやってみてはどうでしょうか。
あまり無理せず、自分のスピードが気になった方はやって見てください。
 
知野吉和


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