スキルマトリクス理論の研究で、いろいろな○○感とか、○○力を評価に取り入れようと試行錯誤する中で、早い段階で責任感を採用したが、すぐに不採用となりました。
答えを先に言いますと、責任感は、上司や周りが求めていることと本人の努力の方向が同じ時に『あいつは責任感がある』となったときに、たままた良い評価になるだけなのです。
そして、責任感という言葉の持つイメージや取り扱い方が、性格や状況によって全く異なるのです。
皆さんは責任感をどのような意味でとらえていますか?
責任感とは人によって意味が違うという一例
- 法令を遵守すること
- 期日に間に合わせること
- チーム全体を動かすこと
- 部下をしっかり育てること
- 上司の言うことを聞くこと
- 家族や子供を守るため
と、責任感は人によって責任の方向が違うのです。
法令順守は大切ですが、事情によっては思うようにいかないこともあります。
チーム全体のことよりも、家族を養うための責任感であれば、優先されるのはプライベートでしょう。
そういう意味では、責任感テストなるものがありますが、あれってたぶん『仕事に対する努力』という意味の責任感でしょうね。
もう一つ、責任感テストの危険性は、経営者が求めていないケースです。または経営者自身に責任感がない場合です。
そういう経営者の下で働く責任感のある社員は、経営者にとってはめんどくさい社員でしかないのです。
経営者でなくとも、チームリーダーが仕事に対する責任感が薄ければ、まじめに働こうとする社員にとってはスキルを発揮できない状況になりますし、リーダーにとっても邪魔な存在でしょうね。
実際にある組織で、現場のスタッフは法令などを気にしていろいろな提案や心配をするのですが、管理者が全くコンプライアンスに興味がなく、結果として、あとでいろいろと問題になった、という事例があります。
この場合、スキルとしては現場スタッフが高く正しい方向にあったわけですが、組織としては現場スタッフは管理者の邪魔をする、足をひっぱる存在でしかなかった、ということです。スキルマトリクスでいつも言ってることですが、スキルが高ければ喜ばれるわけではないのです。
チーム全体、会社全体が正しい方向に向かっているわけではないので、責任感評価は難しいのです。
人事考課に『責任感テスト』を採用する際は、自社にとって「期待する行動」を明文化して別の言葉で取り扱うと良いでしょう。
とはいっても、責任感は非常に大切な価値観です。やっぱりこの価値観を持っている人は大事するべきですが、人によっては、責任感を期待するものとは違う解釈をしているケースがあるので、気を付けなはれや!って話です。うっしっし
知野吉和