新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

負けるな介護現場


IMG_5220.JPG学びをすればするほど、打ちのめされていく矛盾、というお話しです。
 
ボディメカニクス、傾聴、ユマニチュード、バリデーション、タクティールケア、古武術、フットケア、ノーリフト、レイキ、ハンドケア、シーティング、操体法などなど、介護に使える理論や優れた技術はたくさんあります。
でも、現場全体の雰囲気がまだそこに追いついていなかったり、管理者がそれを求めていない場合は、とってもやりにくいですよね。
正しさや、新しいことを良かれと思って提案したり、実践しようとすると、現場の現状や雰囲気がそれをさせない現実があります。
正しさよりも、現実の雰囲気が通るのです。そして、その現実に負けるのです。
必要なのは、『現場の現実に負けない強さ』です。
 
僕はヘルパー2級講座や、基礎研修の移乗技術の演習を担当することがありますが、そこではあえて、スーパートランスや、古武術で提案されているような技を体験してもらっています。
 
理由は、現場で打ちのめされないためです。
 
仕事における『頭打ち状態』というのは、ほかのやり方やアイデアがない状態のことをいいます。
論理的に移乗技術を学んでいない(または、学んだけど忘れた)職員は、はっきり言って移乗が下手です。力かませです。持ち上げています。だから腰が痛くなるのです。腰が痛くなる職員は移乗をしっかり理論的に学ぶとよいでしょう。そして体の動きについても、第三者から観察してもらって動きの指摘をしてもらうと良いのです。それをしないでプロとしての道は歩めません。でも、現場の多くは、論理性よりも、現場の現実が優先されます。
 
で、なぜあえて、現場ではあまり使われていないスーパートランスを学んでもらうのか、と言いますと、『楽にやれるアイデアがあるのだ』という思い出を作ってもらうためです。それが打ちのめされないための布石になるからです。
 
研修の時間で移乗技術がうまくなるわけではありません。体験レベルです。基礎の基礎でしかなく、やった記憶すらなくす人もいます。だから、現場で腰を痛めそうになった時に、『そういえば、研修の時に、なんか良いやり方を教わったような気がするわー』と思い出して欲しいと思って、やっています。
 
講師としての祈りです。教育とは祈りです。
 
最初の話に戻りますが、そういったアイデアを教えても、実習施設に行った人たちは、皆さん『誰も知野先生のやってることなんか知りませんよ』と言います。そして、あっさりと打ちのめされて、現場のやり方に染まる卒業生たち。
 
それが現場の現状なのです。現場は忙しいのです。時間軸で動いているところが多いでしょう。となると、一人の利用者のために、それほど多くの時間をかけてケアすることは難しいです。できない理由、出来ない現実の方が大きいのです。
時間外に学ぶほど余裕もない人もでしょう。
 
介護において、理想の学びとは、知識と同時に、新しい具体的な方法がセットで提供されることです。
でも、その方法を実践できない現場で働く人たちは、学べば学ぶほど、『本当はもっとこうしたらいいのにな~』『もっと時間があったらこうしたいのにな~』という期待はずれ状態をたくさん感じることになります。
実践する機会がないから、学びが無駄と感じ、周りの理解も得られず、ますます、どうせやってもだめ、という悪循環がうまれます。
 
バーンアウト(燃え尽き)とは、こういうことです。
期待はずれ状態が続いて、やる気がなくなる状態。まさにこれです。
 
学ぶたびに脱力する現場とはこういうことです。
 
さらに、せっかく高いお金を払った学びなのに、時間とともに忘れていき、あの頃の感動した自分が愚かに見えて、『もう学ぶことは疲れました』となるわけですわ。
 
でも、現場が悪いとか、学びに意味がない、と言いたいのではないです。
 
一番の問題は、現実に、それを発揮する機会がなく、承認されない雰囲気、学びを共有できないこと、です。では、それを実践する時間を与えましょう、と言っても、忙しい状態では厳しいのが現実です。
新しい学びを受け入れる現場の雰囲気があればまったく問題ないんですけどね。
 
実は、学ぶことと同時に、雰囲気を変える努力や、わかってもらう努力やスキルも磨かないと、本当に自分のやりたいケアはできないのです。
 
《打ちのめされないための方法》
スキルマトリクス的に、現実の壁に打ちのめされるタイプは、ひとつは、環境にやられる、というのもありますが、実は、学びが足りないのです。ひとつやふたつでは負けるのです。もし、打ちのめされて、へこんでしまったら、『学びが足りない』と思ってください。
学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んで学んでうっしっし。
実は介護系スキルは、行動よりも、学びが壁を破るのです。
その理由は11月14日東区プラザにて!


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知野吉和

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