介護現場は今、器用さを求められています。それが本当に妥当なのか?という話です。
送迎車両の運転、パソコン入力、料理(調理)、洗濯、掃除、カウンセリング(傾聴)、介護、サービス業的接客能力、などなど。
何が専門性なのでしょうかね?介護は何の専門ですか?とある県の介護福祉士会の会長に聞いたことがあります。
その人はかっこつけて『介護の専門性は自立支援です』と言いました。たぶんこの人現場を知らないんだなと思いました。
自立支援の定義についてはそのうち語るとして、現場の職員は多機能を求められ過ぎています!!
送迎車両乗らなきゃいけないのに、車に傷はつけるわ、事故は起こすわ。パソコン入力できない、調理ができない、洗濯できない、たためない、掃除できない、人の話は聞けない、お客様が来ても挨拶できない。そして介護もまともにできない。という人、たまにいますよね。
何が介護職員の仕事なんでしょうか?
もし、おむつ交換や食事介助が介護の仕事だとするならば、車の送迎はちょっと業務から外れすぎてるんでないでしょうかね?
やさしいケアが、コミュニケーションが介護職員の仕事とするならば、調理や掃除は、ほかの人の仕事にしてもいいのではないでしょうかね?
器用な人はそんなにいません。本当に全部できる人っているんでしょうかね。
なんでもやるのが介護職なのだ、というならば、できていないこの現実はなんなんでしょうか。どうしたらみんなが同じようにできるようになるのでしょうか?
できない人を、ダメなやつと決めつける前に、なんで育てようとしないのか?
出来て当たり前というならば、出来てる人だけでやればいいじゃん。なんでできない人を残すのか?
人には得意不得意があるんだから協力し合えばいいじゃん、という意見もありますが、その人だけの考えではなく、全員がそう思っているのか?本当に全員でフォローしあえているのか?ということです。
介護職員が介護職員として、介護の専門性を発揮できる環境が今の施設にあるのでしょうか?
これって介護職員のせいでしょうか?施設のせいでしょうか?僕は制度のせいだと思います。
少ない人数で、やるしかない。送迎専門のスタッフはおけないから、介護職員さんお願いします。ってなってますよね。
掃除のスタッフも用意できないので、介護職員さんお願いします。ってなってますよね?
今のこの現状しか知らないスタッフはそんなもんだと思って、慎重に運転をして、がんばって調理をしていることでしょう。
あのドラッガーも言ってましたよ。サービスの質を上げるのは分業であると。
ホテルのように分業して、それぞれを専門にするのがサービスの質を上げるのです。
理想論を語る介護施設の一部は、分業せずに、サービスの質を上げようとします。無理があります。
現場は自分たちのやってることが正しいのかどうか、妥当なのかどうかわからず、考える時間もなく、今やらなきゃいけないことをやるだけになっています。追われ続ける我々に、自分たちの価値を感じることなんてできるのでしょうか。
制度的な問題があるから仕方がないというならば、現場も仕方なくやっててもしょうがないですよね。
現場の質が落ちているのではなく、現場に求められることが増えすぎてるってこともあるんじゃないでしょうかね。
器用な人はどんどん仕事が増えていき、不器用な人は、あいつはしょうがないと、放置される。そして、『あいつと同じ給料なのがヤだわ!!』と言って退職する器用な人たち。このままでは、不器用な人たちだけが残る組織になりますよ。
この現場の悪循環を断ち切るのは、経営者のみですよ。ウッシッシ