介護業界にはびこる聞こえのいい抽象的な言葉を斬るシリーズ(といいつつ、次はいつか。。。)
信頼関係について。
信頼関係を築くのは非常に難しいです。施設長と現場の職員が信頼関係ないのに、管理者が当たり前のように、信頼関係を大切に、などと言えば言うほど現場との信頼関係は失われていくのです。うっしっし。
信頼関係とは、お互いがお互いを許しあえる関係と私は定義しています。
新潟弁で言うと、『おめさんらっけいいこてね』と言われる関係です。
お互い、というのがポイントです。職員だけが許すのは、それはあきらめか、ひらきなおりか、ガマンの関係です。
信頼関係というのは、自分から心をオープンにして行かないとなかなか関係性を作るのは難しいです。
介護の信頼関係の難しいのは、こちらが心をオープンにしていくことの危険性です。
認知症の利用者に、私はあなたの味方ですよオーラを出しつつ、寄り添い、『◯◯さーん、ごはんですよー』と天使の笑顔で近づいた途端にガツンと殴られるのです。(そんな人ばかりではないですけどね)
とにかく、心をオープンにして関わるといろんな危険があるので、信頼関係を築くのは、非常に難しいですということです。
理想論しか語れない管理者が言う信頼関係とは、殴られようが拒否されようが、笑ってガマンしろってことなんです。
心をオープンにすることの危険性を知った介護職員は、自分の心を守るため、利用者に間違って危害を及ぼさないために、セリフは棒読み、目は合わせない、感情を表に出さないようにして、「◯◯さん、ごはんですよ」とロボットのように、作業的に仕事をするようになるのです。でもこれは介護職員が悪いのではなく、自分を守るための手段なのです。
介護を始めた頃は、それでも利用者を信じて、我慢して、笑顔で対応したのです。でも、何度も何度も裏切られたら、それは心が閉ざされますわ。
方言が出なくなって、教科書にあるような標準語のセリフでの会話になってくるのです。
※ある研究で、人との距離感を取ろうとしない人、取れない人は方言を使わない、という研究結果があります。方言は人との距離感を縮める言葉が多いのだそうです。だから、仲良くなりたくない人は、方言を使わないんだそうです。
管理者の方は、100%現場にいるわけではないし、現場の苦しみを知っているわけではないので、『信頼関係』という言葉は慎重に使ってください。関わる、というのはそれだけ心を浪費するのです。
聞こえのいい抽象的な言葉を使えば使うほど、現場の職員は疲弊していきますよ。
ムカつくよね!疲れるよね!めんどくさいよね!でもあなたがいてくれて助かるから、お願いしますわ!と、そんな労いがあってもいいと思いますけどね。
ウッシッシ
知野吉和