このたびの東北地方太平洋沖地震におきまして、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。
数千人の方が亡くなった阪神淡路大震災から、私たちが学んだ教訓のひとつに「外傷以外でもっとも多くの方が亡くなった原因が上気道感染による「肺炎」であったということでした。避難所での劣悪な食環境とストレスによる免疫低下、インフルエンザ流行、仕切りのない環境、気温の低い室内などを要因として考えられました。
また、極端な水不足の中、口腔の清潔など二の次にしたことは明白です。さらに共同生活である避難所では、枕元に義歯をおいて寝るなど到底、無理です。おそらくは人前で義歯をはずすことを嫌がる高齢者は、汚れたままの義歯を装着して眠っていたと思います。(発生当時にはなかった発想ですが)避難所における肺炎の何割かは誤嚥性肺炎であったのではないかと考えられています。
そこで、歯科医療関係者は新潟中越大震災、その後の新潟県中越沖地震において、避難所で生活する方々に対して早期からの口腔ケアを促す啓発活動を行いました。決して歯科治療が必要なケースがないわけではありませんが、歯科治療を急ぐ必要はありません。むしろ、早期の口腔ケアは震災関連疾患とりわけ誤嚥性肺炎予防に非常に有効です。(一般的にも口腔ケアが誤嚥性肺炎に効果的であることはすでに広く認知されています)
なぜ早期なのかといえば、一度、低下した口腔衛生状態を良好なレベルに戻す為には「日」単位ではなく、「月」単位での時間を要し、その間に震災関連疾患の深刻な状態が起こってきます。
また今後の地震・津波・電力不足による影響は計り知れず、私たちが経験したことのない日常生活の長期化をよぎなくされるでしょう。その結果、被災地も当然ですが、その周りの地域においても高齢者・障害者施設の要援護者の方々の要介護度の重度化が懸念されます。これを防ぐためにも何らかの口腔保健に対しての支援が必要であり、口腔ケアの普及啓発を訴えていくことは我々歯科関係者の責務であると考えます。
これまでの取り組みを踏まえ、未曾有の被害となった東北地方太平洋沖地震では果たして我々の経験がどこまで生かせるかは予測できませんが、新潟県歯科医師会では3月12日付で「新潟県歯科医師会災害対策本部」を設置し、現在も被災地への支援並びに本県に設置された被災者を受け入れる避難所への支援活動等について、関係団体とも検討しているとのことです。
既に報道されているように新潟県では、3月17日現在県内43箇所の避難所で福島県などから7千人を超える方々が避難されております。先にあげた 新潟県歯科医師会対策本部では、これらの避難者の方々に対し、避難所での口腔ケアに関する啓発用ポスターを作成いたしました。
ポスターは現在印刷中で、22日(火)に納品され、直ぐに各郡市歯科医師会へ配付する予定です。
微力ではありますが、被災されたみなさまのために未来をみつめて精一杯がんばっていくつもりです。
★デンタルクリニック ツチヤ★
〒959-0264 新潟県燕市吉田3751 電話0256-93-1182
ホームページ http://www.h5.dion.ne.jp/~dctutiya/