入浴での失態


個浴で関わらせていただいたときの話。
(個浴…家庭にあるようなお風呂です)

 

歩行器で歩くおばあさん。
生活のほとんどが自立だが
認知症がちょっと強い感じ。

 

不安になることが多く、その度に

『看護婦さ~ん!!』

って叫んでくる。(介護さ~ん!とは言いません…)

 

で、そのおばあさんの入浴担当になったときのこと。

 

生活のほとんどがご自分でできるおばあさんなもんだから
脱衣から洗髪・洗体まで、なるべく自分でやっていただく。

 

だって自分でできるんだもの。
やれることは自分で。当然である。

 

もちろん本人も『手伝ってくれ』なんて言ってこない。
一生懸命…、てか普通に自分のことはしてくれる。

 

仮に体を上手に洗えてなかったら少し手助けするが
基本は転ばないように、混乱しないように見守るだけ。

 

無事に体を洗い終え、おばあさんは湯船に入る。

 

でも、会話が思い浮かばない…。
というより、頭に疑問がよぎる。

 

僕は男。しかもおばあさんはけっこうしっかりしてる。

 

湯船に入っているおばあさんの隣に位置づけ

「いいお風呂ですね~」「湯加減どうですか?」

だの言うことが、このおばあさんの為なのか?

 

相手は裸で、僕は服を着ている。
こんな状況なのに、一緒になって
【いい湯だな】とか歌ってていいのか!?

 

もしかしたら僕がここに居たら邪魔なんじゃないか…。
一人でゆったり入ってもらったほうがいいんじゃないか。
一人でゆっくり入ってもらうことが大切なんじゃないか。

 

だってやっぱり女性なんだもの。
ここは無理に僕が居る必要はない。

 

お一人でお風呂を楽しんでもらおうじゃないか。

 

そう思った僕は「僕は席はずしますんで、ごゆっくりどうぞ」
と、おばあさんの了承を得て、浴室を離れ脱衣場へ退避。

 

でも、やっぱり動向は気になりますよね。

 

僕は浴室と脱衣場の扉を数cm開け、静かに観察することに。

 

まるで覗きをしているようである。
でもその感覚が僕を興奮させる。
だって(転倒・溺水の)リスクを
背負いながら観察するんだもの。

 

リスクを背負いながら観察していくのって
結構興奮します。正直テンション上がります。

 

これってストーカーの心理なのかもしれませんね。

 

僕は脱衣場で、衣類を洗濯機に放り込んだり
お風呂から上がる準備をしたり、扉の隙間から
おばあさんを覗いたりしながら、おばあさんが
自分でお風呂から上がるのを待ってたのだが…。

 

数分後、おばあさんが叫んだ!

 

『看護婦さん!助けてください!看護婦さん!』

 

僕はびっくりしてお風呂に駆け寄った!

 

「おばあさん!どうしました!?」

 

駆け寄った僕におばあさんは驚きの証言をする。

 

『扉の隙間から誰か覗いていたんです!助けてください!』

 

 

 

 

あ…ごめん。それ僕です…。

 

介護短歌

一日の
暮らしを見守る
ストーカー
僕らも同じ
ストーカー介護

 

一人で何かをしたいってお年寄りがいたとき、
一人でするには危険、何が起きるか分からない
ってジレンマが職員には多々あると思います。

 

そういうとき、職員は過剰な介護で支援したり、
無理させないように…とやりたいことを奪って
しまいがちですが。それでいいわけありません。

 

そこで必要なのがストーカー介護です!

 

動向を見守るのが一番良い方法。
それが主体性の尊重なのですから。

 

その人は、自分のことがどれくらいできるのか、
どのようにやっているか、どこに困っているのか。

 

扉や柱の影から密かにその人の生活をそっと見守りましょう。
にやにやしながら、「お!こんなことまでしちゃうの!?」ってね。

 

でも、僕みたいな失態はしないように。
見つかったら間違いなく変質者扱いですから(汗)


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