しっかりしていたはずのおばあさんに
幻覚が現れ始めたときのお話。
どうやら子供の声が聞こえてくるらしい。
認知症が進行したというより【せん妄】状態なのか?
しきりに子供の声に反応している。
子供を家にいれなきゃと窓を開ける。
ベッドや車イスから落ちそうになる。
歩けないのに立って歩こうともする。
非常に危険。
何年も前に病院に入院したときも、
こんなことがあった。とご家族さんが言う。
そしてベッドから転落して骨折したらしい。
何はともあれ、原因が分からない今、
幻覚への対応をちゃんとしなければ。
おばあさんが僕に話しかけてくる。
『お前さんは、子供の声が聞こえないんかい?』
「僕は…聞こえません」
①幻覚は肯定しない。
『ほら!子供がワンワン泣いているじゃない!』
「そうですか…。○○さんには聞こえるんですねぇ」
②訴えることを否定しない。
『そうなんだよ!でもどうしてお前さんは聞こえないのかね』
「はい、不思議ですねぇ。ま…まさか霊??」
③つまり否定も肯定もしない。
『そんな馬鹿な!でも、ホント霊なのかねえ?』
「だっておばあさんだけに聞こえるんですもんね」
④その症状は受け止めてみる。
『で、霊がどうしてここにくるんだい?』
「それは…。迎えにでも来たんじゃないですか?」
⑤話のつじつまを合わせる。
『まさか!?私にもうお迎えかい?』
「分かりませんが。お迎えとなれば大変なことですよ…」
⑥話をそらす。
『私はまだ死にたくないよ!』
「僕もおばあさんに死んでもらいたくありません!」
⑦ここぞとばかりに味方になる。
『ほら!今も泣いてるじゃない!どうにかして!!』
「ちくしょ~!おばあさんから離れてしまえ~!」
⑧幻覚に対して向き合う。
『私はどうすればいいの!?相手するのも疲れるよ…』
「話を聞いちゃダメです!連れていかれちゃいますよ!」
⑨奥にある不安な気持ちを引き出す。
『じゃあ相手しないほうがいいね、そのほうが気が楽だよ』
「そうしたほうがいいですよ。大丈夫、僕がついていますから」
⑩共感しつつ現実へ。
介護短歌
幻覚は
否定をせずに
共感し
味方になって
共に向き合う
とりあえず落ち着いてくれたおばあさん。
果たしてこんな対応で良いのだろうかwww
対応に対して「しのぐこと」すべてが悪いとは思いません。
ただ、しのぎっぱなしじゃ根本の解決にはならないので。
しのいでしのいで。
おばあさんの幻覚に付き合って。
その中で原因を模索して。
必要ならば薬も考えていって。
考えられる原因を排除して。
しのぎつつも、奥にある不安・原因を
追い求めていくことが大切です。
※ちなみにこの方法は危険ですので、お勧めしませんw
だって相手が『否定された!』とか『ふざけないで!』って
なったら、元も子もありませんし。そもそも文中の会話だって
かなり端折ったものとなってて、ホントはもっと時間かけてます。