新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

トイレに連れ込みズボンを脱がす。(←強姦)


トイレに連れていってもおしっこが出ない。

パットが濡れているから当然か。
まだおしっこ出たくないのかな。

 

こう思う人は当然いるだろう。
そういう人は決まってこう言う。

 

「トイレ誘導したけどおしっこ出ませんでした」

 

でもちょっと待ってほしい。

 

正確には

「トイレ誘導は失敗に終わりました」

ではないか。

 

たしかにトイレに行くタイミングは重要である。
それがずれればおしっこが出ないこともありうる。

 

だけど。

 

その人がトイレって認識さえできれば
おしっこが出てもおかしくないのもたしか。

 

僕たちは便座があればトイレと認識するけど
お年寄りはそれがちゃんと認識できずに
単なる密室に思っているかもしれないのだ。

 

考えてみてほしい。

 

訳の分からない狭い部屋に連れ込まれ、
訳分からないままズボンを脱がされる。

 

これじゃレイプ同然じゃないか。

 

中には、二人介助とかいって相手の気持ちも考えず
前後から寄ってたかってズボンを下ろそうとする光景も。

 

おいおい、集団レイプかよ…。

 

僕だったらち○こがちぢこまって
機能しなくなるに違いないだろう。

 

ちゃんと説明してから脱がせますよ!

と、反論があるかもしれないけど。

 

それが通じてなければ、本人の理解がなければ
強姦罪に問われてもおかしくない行為じゃないか。

 

じゃあどうすればいいの?

 

トイレをじっくりと見てもらって
自分からズボンに手をかけるまで待つ。

 

これだけでも排尿の確率はアップします。
それがトイレを認識したサインなのだから。

 

とはいえ年寄りはなかなか受け身で
自分ではズボンを脱がないよ…。

って思うあなた。

 

今まで僕たちがやってきた介護が
いかに年寄りに何も考えなくさせて
受け身の生活にさせてきたことか…。

 

でも、認知症が進行すれば受け身になるよ。
だって分かってないし、できないんだもの。

 

それも誤解です。

 

できないんじゃない。トイレの理解や
そのやり方を思い出せないだけなのだ。

 

たとえ認知症が進行していこうが
すべてが分からなくなるわけじゃない。

 

認知症という病気により、情報の伝達や
状況を判断する力がうまく回路しないだけ。

 

やりたいこと、できることはちゃんとあるはず。

 

そういった思いがうまく成し遂げられないだけ。
そこにたどりつくための手段が分からないだけ。

 

だから僕たちは。

分からなくなったときに分かるように手助けすればいい。
僕たちは心がつまづいたときの【道しるべ】になればいい。

 

できないからといってすぐ手を出すのは
相手を否定すると言っても過言じゃない。

 

僕たち介護は相手を肯定する側となり
言葉だけじゃなく色々な手段を用いて
思い出してもらうような支援をすべき。

 

ただトイレに誘導してズボンを下ろして
排尿ないからパット交換…じゃなくて。
あの手この手を使いながら、言葉巧みに
相手をその気にさせて、行きつくところが
トイレだなって認識してもらうことが大切。

 

トイレ誘導の失敗は。

その年寄りの尿意の有無や認知症が進行したから
といった「相手の責任」ではなく僕たち介護の
『伝える力不足』に他ならないのだから。

介護短歌

道しるべ
心の迷いを
解き放ち
思いを遂げる
ための支援を

 

なかなかズボンを脱いでくれないおばあさん。
僕はそのおばあさんにこう伝えることがあります。

 

『僕が先におしっこ済ませますね』と言い
相手を目の前にズボンを下ろして見せる。

 

まさしくこれは『公然わいせつ』ですが。
不起訴処分で済んでもらいたいものです。

 

だってこうすれば排尿の確率が
格段にアップするのですから。


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