新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

ああ言えばこう言う


虫の居所がめちゃくちゃ悪かった車椅子おばあさんの話。

 

「あっち行きません?」と言えば
『行かない!』って拒否して
「ご飯ですよ~」って誘えば
『誰が食べるか!』と言い放つ。

 

まさにああ言えばこう言う状態。
職員の言葉すべてに完全否定である。

 

そんなこんなで、職員の言葉に耳を傾けず
もうかれこれ6時間はトイレに行ってない様子。

 

僕は勇気を振り絞り、声をかけてみる。

 

「おばあさん、今日も元気ですね!」

『あぁ?!元気なわけないだろ!』

 

やっぱり反発するし…。
が、僕はさらに声かけ。

 

「そっか、元気ないんですね。僕心配ですよ…」

『はぁ!?お前がオレを心配するわけないだろ!』

 

心配しておばあさんのハートをつかもうと
するが、なかなかうまくはいかない。

 

でもさすがにそろそろトイレに誘わなきゃ。

 

「いや、ホント心配ですって。だって
全然トイレに行ってないでしょ?
そろそろおしっこに行きましょうよ…」

 

『あん!?便所に行かなくて何が悪い!
だいたいオレは小便なんて出ねぇ!!』

 

いや。そうは言ってもおばあさんの
お腹はパンパンなはずである。

 

こうなりゃこっちだって考えが。

 

「えぇ?ホントですか?小便をしないですって?!
あ、おばあさんは上品な貴婦人ですもんね!
そもそも、うんこや小便なんてしない人っぽい!」

 

と、訳の分からない誉め言葉で口撃。

 

「何?!うんこや小便しない馬鹿がどこにいるんだ!」

 

案の定おばあさんは反撃に出る。そんな彼女に
僕は訳の分からないことを言いつづけてみる。

 

「こんな綺麗なおばあさんがうんこや小便なんて…。
やめてください!上品なイメージが崩れますって。
お願いです!どうかうんこや小便しないでください!」

 

『馬鹿野郎!そんなことできるわけないだろ!』

 

反発がむしろ良い方向へ。
僕はもっと彼女に絡むことに。

 

「だいたいトイレはあんな遠くにあるんですよ!
車椅子をこいで行くなんて危険すぎます!」

 

『何を~!それくらい簡単に行けるわ!』

 

き~こき~こと車椅子をこいでトイレに向かうおばあさん。
調子に乗った僕は、さらにおばあさんを挑発?していく。

 

「でも、トイレに座るのは無理ですって…。
だって足が悪いんだから立てるわけがない…」

 

『あんだと!?足悪いったって立てるぞ、うすら馬鹿が!』

 

そういうとおばあさんったら
上手な立ち上がりを見せ、トイレへ。

 

「やめて~!こんなところで小便するなんてぇ!
下品すぎます!どうかふんばったりしないでぇ…」

 

『うるせぇ~~~!!』

 

じゃ~~。ぶりぶりぶり~~。

 

介護短歌

ストレスで
心が壊れた
その時は
なってみせよう
心の捌け口

イライラした気持ちをどこかにぶつけたかったのですね。


そんな時はどうか僕たちに当たってください。
それで気持ちが収まるなら喜んで捌け口になります。

 

『どうだ、まいったか!?』と言わんばかりのおばあさん。

それに対して「お見逸れいたしました!」と陳謝する僕。

 

そのおばあさん、ご飯も拒否気味だったけど
「実はご飯炊き忘れてしまいました!」って
言ったら、『さっさと炊きやがれ~!!』と一喝。

 

無事にトイレもご飯も済ませたおばあさん。

 

すっきりしたのか、満腹になったのか
30分後には機嫌が直っちゃってましたwww


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