50回目のファースト・キス
(2004年・アメリカ)
事故のために“前向健忘”と呼ばれる記憶障害で
一晩眠ると前日の記憶が消えてしまうルーシーと
そんな彼女のハートを掴むために毎日ゼロからの
アタックを繰り返す獣医ヘンリーのラブストーリー。
“記憶が残らない”という、本人や周囲にとっては
深刻な問題を、あくまでもソフトに、そして真面目に
扱いながらも、コメディタッチの手法で描いている。
記憶を失うことを悪いことと捉えず、逆手にとって
毎日ルーシーにあの手この手でアプローチを
繰り返し、最善の方法を見つけようとするヘンリー。
そんなヘンリーの誠意ある姿勢で
ルーシーに少しづつある変化が…。
「新しい試みさ。ダメでも一日で忘れる」
ヘンリーが言うセリフ。一見、無責任な感じだが
そうではない。彼は前向きに捉えているのだ。
認知症と照らし合わせるのは強引で
不謹慎なことなのかもしれないが…。
その人が嫌がるのは認知症が悪いわけではない。
こちらのアプローチの仕方がまずかっただけの話。
それを認知症だからと、言っても分からないと諦めたり、
拒否を問題行動と捉えたり、はたまた強引に接しようとしたり。
そうするくらいなら、認知症であることを逆手にとって
相手が忘れた頃に違う手法で関わっていったらどうか。
その人にとって最善のアプローチを見つけるために。
軽いタッチで描かれている部分があるので
賛否両論があるかもしれないけど…。
ヘンリーの前向きで一途な行動に限らず
家族や周りの温かな思いも詰まっていて
観る人に色々なことを訴えかける作品です。