新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

新年度!~就職編~


当たり前だが、この時期には
福祉業界に就職してくる人がいる。

福祉の世界に飛び込んでくる人は
何を思ってこの業界にくるのだろう?

 

「ただ何となく」「求人があったから」
「専門職は食いっぱぐれがないから」
と、この不景気らしい回答もあるだろうが。

 

その多くは「福祉の仕事がしたいから」なんだと思う。
ここに勤めにくるそのほとんどが皆優しい人なのである。

新人さんは福祉に対して希望や夢を持った人たちなのだ。

 

一方、ベテラン職員の多くは馴れ合いと現実の中で
本来大切な優しさを忘れている。勤め始めた当初の
「お年寄りのために」はどこにいったのやら(笑)

 

そんな中、新人指導でたまに耳にするのは
「勉強してきたことと実際の現場は違う」
「理想だけでできるほど現場は甘くない」
というベテラン職員のもっともらしい迷台詞。

でもこれって指導する側と指導される側の
介護への思いが全く違ってはいないか。

 

現場にどっぷりと浸かっていくなかで
大切な福祉の心を忘れかけてるベテランと。

就職したばかりで福祉に対して良い理想や
夢や希望を持っている心優しき新人さん。

どちらが正しいかなんて一目瞭然じゃないか。
それとも「それが現場の現実」とでも言うのだろうか。

 

いや、違う。

「現実はそんなに甘くない」のではない。
「理想はそんな甘いところにない」のである。

 

業務優先の名のもとに行われる「作業」。

そんな専門性のかけらもない甘っちょろい仕事のやり方じゃ
新人さんがしっかり学んできた介護の理想の世界には程遠い。

 

それは単に現場の努力が足りないだけのこと。

介護が思い描く理想と、現場の現実とが
異なっていてはダメなのだ。

 

馴染みの関係を武器に年寄りを子ども扱いして、
移乗の際は自立を促さず主体性無視の全介助で、
食事介助は速ければ速いほどいいと餌やり状態。

コールを消したり、訴えを当たり前に放置して
年寄りの失敗を笑ったりからかったり馬鹿にしたり
虐待・拘束まがいなことを平気で行っている…。

 

そんなのが「介護の現実」だったらあまりに悲しい。
そんな理不尽なことを新人さんに見せてはいけない。

「介護」が目指すのはそんな世界じゃないのだから。

 

理想を追えない現実を肯定する前に、
多忙で忘れかけているものがあるなら
むしろ新人さんに教えてもらえばいい。

 

訴えに足を止めて耳を傾けようとするその姿勢を。
一人一人の年寄りに一生懸命になるその姿を。

介護短歌

思い出そう
介護に対する
思想・理想
若き姿に
我が影を見る

新人さんは介護への思いをしっかりと持っています。
就職したばかりの僕たちがそうであったように。

新人さんを生かすも殺すも僕たち次第。福祉の世界に
飛び込んできたその思いを大切にしていきたいですね。


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