新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

心の風船【2】


仮に、ストレスが少ない環境にいたとして、
その幸せな環境下でストレスを与えた場合と…

 

日々ストレスが強い環境下にいる中、追い打ちを
かけるかのごとく、さらにストレスを与えた場合…

 

果たしてどちらが悪い結果を及ぼすでしょうか?

 

おそらく後者ですよね。

「俺を困らせてそんなに楽しいのかよ!」

ってなもんです。

 

むしろ前者であれば

「笑って済ませてもらえる範囲」

かもしれませんね(笑)

 

てなわけで前回の続きです。

 

認知症になると、今までできてきたことが
難しくなったり、できなくなったりしますよね。

 

認知症に限らず、老いや障害などもそうですが
普通にできてきたことができないってことは、
ストレスを感じる大きな要素となり得ます。

 

皆さんにとって普通にできてることが、
普通にできなくなっちゃうわけですから。

 

それを支える社会がバリアフリーやノーマライゼーションであり
そこを支援していくのが『介護』としての役割だと思います。

 

たとえ老いや認知症になろうとも

普通にできるようになっていただいたり

できるようにちょっとした支援をしたり

できるまで根気よく待ってあげたり

はたまたその人のレベルに合わせたり

が必要ですよね。

 

でないと必ずそれはストレスとなりますから。

 

記憶障害であれば
記憶の糸をたぐりよせるのにストレスを感じ

見当識障害であれば
分かりにくくなった空間や環境にストレスを感じ

実行機能障害であれば
うまく行動できないことにストレスを感じ

理解・判断力の障害であれば
時間がかかる情報処理にストレスを感じ

失認であれば
見誤ることにストレスを感じ

失行であれば
間違ってしまうことにストレスを感じ

失語であれば
言葉が出てこないことにストレスを感じます。

(これはあくまで一例ですw)

 

でも。

そのストレスをいちいち解消することってできるでしょうか?

 

もちろん気づきがあれば解消すべきですし
認知症の方が困るであろう場面を予測して
支援していくことが大切なのですが…。

 

前回も話したように

夕方は必ずくるものですし

トイレの失敗だってたまにはあるかもしれない。

 

ましてや上に書いたことは

認知症の中核症状であり

『認知症になったら起こりうる症状』

ですからね。

 

ある意味『できない』『難しい』ってのは仕方ないことです。

ときには『失敗』や『失態』だってあるでしょう。

僕たち介護が四六時中ついて回るのだって不可能です。

 

そもそもまったくストレスのない環境なんてありませんからw

 

そう考えると本当にストレスがたまってしまうのは

できなくなった事実そのものより

それによって生活に支障が出てるから。

生きにくい世の中になってしまっているから。

なんでしょうね。

 

そして、そのストレスの繰り返しにより
心の風船が爆発してしまうのかもしれません。

 

じゃあ僕たち介護はどうすればいいんでしょうか?

 

もちろん。

認知症の中核症状で困るであろう
場面で支援していくことは大切です。

 

でも。

それができないときがあるとするならば…

 

現に忙しくて関わりきれないときだってあります。
思わず怒ってしまうことだってあるかもしれません。
ほとほと疲れて放置してしまうときだってあるかもです。

 

だからこそ日々の関わりの中で。

生きにくい世の中って思われないような環境を
整えていくこと、ここに居てもいいんだなって
思っていただけるような雰囲気作りが重要です。

 

そして僕たちの対応も

居心地の良い場所って思ってもらえるような、
この人だったら味方でいてくれる!って思って
いただけるような姿勢で関わることが大切です。

 

言い換えるなら

『ある程度ストレスで風船が膨らもうが爆発しない状態』

を日々の関わりで創っておくこと。

 

不穏になってから対応を考える前に

失禁してから優しい言葉かけで着替えを促す前に

夕方近くになってから帰宅願望がある方に目を向ける前に

日々の生活の中で安心できる環境作り

日々の関わりの中でストレスを与えないような対応

を心掛けることが何よりも大切だと僕は思います。

 

いい意味でも悪い意味でも
ひとつひとつの積み重ねが
相手に響いていくんですから。

介護短歌

ストレスを
感じる世の中
だからこそ
築いていきたい
日々の関わり

☆本日の結論

その場その場の認知症ケアも大事だけど…
(それがうまくいかないことがあるからこそ)
相手を受け容れる関わりの積み重ねが大切です。


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