新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

環境を整えるために大切なのは〇〇だ


こんにちは!

 

[潜在的な想い・揺るぎない根拠・洗練された技術]

を兼ね備えた介護技術のプロを養成する団体

『リハビリテーション✽介護Labo』

 

代表の山﨑隆博です(^^)

「全ての介護現場に介護技術のプロがいる環境を創造していきたい。」

そんな想いで活動をしています♪

 

今回は、

「利用者さんに必要だ!と思う環境を整えるためには〇〇が大切」

というお話です。

 

最近、私が関わっている現場ではポジショニング(*)用のクッションの入れ替えを積極的に行っています。

(*主に自発的な動きが難しい利用者さんに対して、クッションやタオルなどを使用して行うベッド上での姿勢管理方法)

入れ替え前は、もちもちで柔らかいビーズクッションが伸び伸びになっていたり、ぺたーっと潰れ形が崩れたクッションなど、経年劣化が明らかなものが散在。

介護専門用品のポジショニングクッションと一緒にこれらが棚に並んでいました。

ポジショニングのためのクッションには

【支える】

【圧を分散する】

機能が主に必要です。

ところが、経年劣化の進んだクッションではそれらの機能を果たすことができません。

さらに、「隙間を埋めればOK」といった誤った知識が浸透してしまっていることが多々あります。「やったつもり」になり、利用者さんにとっては支えてもらえても無ければ、圧も分散してもらえていないといった、全く良い効果が得られていない状態になります。

セミナーや施設へ外部講師として行ったときにポジショニングクッションを持参したり紹介したりしますが、

「うちはそんな良いの買ってもらえないからなぁ~。」

といった言葉を多く耳にします。

「そうなんですねぇ~。買ってもらえるように交渉頑張っていきましょう!進捗などまたお聞かせください♪」

のような感じでその場では話が終わります。

ところが、よくよく詳しく聞いてみると、、、

 


 

ある職員A「クッション買ってもらえませんか?」

管理者B「いくらくらいするの?」

A「○個で△万円くらいするみたいですね。」

管理者「そこまでうち予算ないからなぁ~。今あるクッションと何が違うの?」

A「こっちの方が利用者さんにとっていいみたいですよ。」

管理者「そりゃ専門的なクッションだからそうだろうけど。ちょっと考えさせて。」

A「はい、よろしくお願いします。」

 

数日後・・・

 

A「すみません、先日のクッションの件いかがでしたでしょうか?」

管理者「やっぱ今回は厳しかったわ。ごめんね。」

A「了解しました。また、機会があったらぜひよろしくお願いします。」

 

といった会話をしたとのことでした。

 


 

福祉用具や専門的な物品を導入してもらうためには、

 

①利用者へのメリット

②職員へのメリット

③経営の面でのメリット

 

の3点を伝えられると説得力が増します!

 

たとえばこんな風に・・・

 


 

ある職員A「クッション買ってもらえませんか?」

管理者B「いくらくらいするの?」

A「○個で△万円くらいするみたいですね。」

B「そこまでうち予算ないからなぁ~。今あるクッションと何が違うの?」

A「これを使うことで、自分で動くことが難しい利用者さんの身体を支えたり、圧を分散できます。そうすると、拘縮予防や褥瘡予防にも繋がっていきます。でも、今使っているのはフニャフニャで全然その効果が得られないんです。もし、今週のどこかでお時間頂けましたら、ぜひ体感してみていただきたいのですが、いかがでしょうか?」

B「そうなんだ。じゃあ今時間空いてるからどう?横になればいいの?」

A「はい、じゃあポジショニングを実際にしてみますね。」

・・・

A「フニャフニャクッションだと股関節や腰のあたりどうですか?」

B「ほんの数分だけど、じわじわ痛み出てくるし力入っちゃうね。」

A「そうなんですよ!唾液は楽に飲み込めますかね?」

B「ングッ! 飲み込みづらッ!」

A「そうなんですよ!嚥下もしにくくなって、誤嚥性肺炎のリスクも上がっちゃうんですよ。呼吸はどうですか?」

B「何だか圧迫されてるみたいで、深く吸えないね。」

A「そうなんですよ!呼吸も浅くなってしまって苦しいんです。誤嚥した時にしっかりムセたくても上手くムセられなくて、余計に誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクを高めることもあるんです。」

B「いやぁ~恐ろしいね。。。」

A「今度は専門的なクッションのデモ品を先日無料で借りられたので、それでポジショニングしてみますね。」

B「めっちゃ楽だわコリャ。」

A「さっきの状態が数時間続くのと、今の状態が数時間続くのでは全然違いますよね!ましてや、苦痛を訴えることが難しい利用者さんだからこそ、このようなケアを提供していきたいんです!」

B「確かにそうだね。」

A「適切な環境を整えれば、体位変換の頻度も2時間に1回から4時間以内でも良いとする研究もあるようです。利用者さんによっては頻度が減って、利用者さんも職員も負担が減ると思うんです。」

B「それは大事だね!夜は利用者さんにもゆっくり休んでいただきたいし、みんなの負担も少しでも減らせたら嬉しいね!」

A「あと、体位変換の頻度が減ることに加えて、体が柔らかい状態を保てれば、オムツもしっかり当てられて枚数が減ったり、モレも減るようです。」

B「それはすごいね!オムツ代って結構かかるからねぇ。」

A「まずこのデモ品で1週間〇〇さんに使ってみたいと思います。もし良さそうだったら、購入を検討していただけますか?」

B「OK。また今年度の予算の中での優先順位見直してみたり、来年度も視野に入れて進めてみるよ!よろしく!」

 

1週間後・・・

 

管理者B「〇〇さんの着替え、最近楽になってきたよ!」

ある職員A「よかったです。少しずつポジショニングの結果が出てきたんだと思います!そこに気が付かれるなんてさすがですね!」

B「いやいや、それほどでも(照) クッションの件は購入方向に進めてみるから、また相談させて!」

A「はい!いつでもお任せください!」


 

私自身もはじめの頃は買えない理由や管理者としての立場を理解できていませんでした。

その上買ってもらえないことに

「なんで分かってくれないの?ケチじゃね?」

っていじけたりしてました(笑)

 

~まとめ~

※専門的なクッションを使用する・しない、いずれにせよ基礎知識がなければ技術は浸透していかない

※相手に理解・納得してもらうためには根拠となる知識が欠かせない

※相手に理解・納得してもらうためには相手のことを理解することが大切

※相手に理解・納得してもらうためには言葉だけじゃなく体感など伝え方を工夫する努力が必要

※利用者さん・職員・経営の面でのメリット/デメリットを勘案した上で投資する価値を見出せるような理由付けが必要

※専門的なクッションを揃えるメリットは多くある

※でも一般的なクッションやタオルだとしても【支える】【圧を分散する】といったポジショニングとしての主な機能を果たしているか確認できれば、もちろん利用できる

 

利用者さんに必要だ!と思う環境を1つずつ整えるためには地道な行動あるのみですね!!

これからも泥臭く頑張っていこうとおもいます(^^♪


【近日開催予定】

Zoomで介護の学びなおしINおうちセミナー

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【著書】

おはよう21 2020.1月号特集
「今日から使える介護技術100のポイント」
https://www.chuohoki.jp/category/C182/6B32.html

おはよう21 2020.5月号 より連載中

『“場面別にみる”介護技術のチェックポイント』
https://www.chuohoki.jp/category/C182/6B37.html


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