新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

「移乗介助の考え方:その1」移乗介助にまつわる怖いこと!?


こんにちは!

 

福祉用具プランナー研究ネットワーク新潟(通称:プラネット新潟)の山﨑隆博です(^^)

 

こちらのブログでは、福祉用具のプロやリハビリテーションのプロ)が「福祉用具の特徴」「ひとり一人に合った福祉用具の選び方と調整の視点」「福祉用具を用いた目からウロコの介護技術」「リハビリテーション」などなどを発信してまいりたいと思います!!

 

前回までは「車椅子の不良姿勢への対策」についていくつか書いてきました。

http://www.kaigogoyoukiki.net/specialist/yamazaki/

 

今回からは、「移乗介助の考え方」について何回かに渡ってお話していきたいと思います(^^)

 

 

介護現場での移乗介助場面でよく聞こえてくる声は、

「せーのっ!よいしょっ!!! ふぅ~(汗)」

   「いやぁ~重ってぇ~」

   「イタタ~」 

などなど。

このような声が聞こえてくる現場では、「移乗介助は大変なもの」として共通認識があるのではないでしょうか。

 

実際、介護現場では介助に伴うギックリ腰や慢性的な腰痛、もっと酷い方はヘルニアにまで至ってしまう方もいます。

で、現場での対策としては「介助をする時は腰を痛めないようにコルセットをしましょう!購入は実費だけど。」というところも多くあるようです。

 

しかし!10年以上も前の平成6年に厚生労働省から「職場における腰痛予防対策の推進について(職場における腰痛予防対策指針)」が示され、中央労働災害防止協会からも、以下のような文言が出ています。

 

「腰痛は、働く人が業務においてり患することが最も多い疾病であり、全業務上疾病のうち約6割を占め、これを予防することは労働衛生分野における重要な課題となっています。特に、介護業務においては、腰部に過重な負担のかかる作業が多くあり、実際に、介護業務を含む保健衛 生業において発生する業務上疾病のうち、約8割を腰痛が占めています。また、老人介護分野においては、 今後一層の高齢化の進展により介護労働者の増加が見込まれ、腰痛についてもその増加が懸念されます。」

(中央労働災害防止協会テキストより一部抜粋)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000041110.pdf

 

ここで、注目していただきたいのが「労働災害防止協会」が介護業務における腰痛を懸念しているといった点です。

海外の介護現場では、もう数十年前から業務上発生した腰痛に関しては「労働災害」として当たり前のように取り扱われています。また、「ノーリフトポリシー」という考え方が浸透しています。

 

 「ノーリフトポリシー」は、20年以上も前になりますが、1996年頃からオーストラリア看護連盟が看護師の腰痛予防のために提言したもので、危険や苦痛の伴う、人力のみの移乗を禁止し、患者さんの自立度を考慮した福祉用具使用による移乗介護を義務付けています。

 

日本の医療介護福祉分野でも、労災認定数はここ10年くらいで急増しおよそ2.7倍にも及んでいます!!

 

海外同様に日本においても、先ほど登場した厚労省からの「職場における腰痛予防対策指針」の中でも、以下のように提言されています。

 

福祉・医療分野等における介護・看護作業

「全介助の必要な対象者には、リフト等を積極的に使用することとし、原則と

して人力による人の抱上げは行わせないこと。」

(厚労省:職場における腰痛予防対策指針より一部抜粋)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034pjn_1.pdf

 

 このように、日本でも移乗介助において「福祉用具を使用すること。人力による抱え上げは行わせないこと。」と言われており、国立機構の大きな病院やリハビリテーションセンターでは、移乗の際は当たり前のように福祉用具が利用されている所も増えてきました。

しかし、介護の現場となると初めに書いたマンパワー介助や腰痛の声が多く聞かれ、未だに「ノーリフトポリシー」が浸透していないのが実状です。

 

「腰痛を抱えながら思いやりに満ちた支援が提供できるのだろうか?」

「腰痛で笑顔を失っていて、ご利用者様の笑顔を引き出すことはできるのだろうか?」

「充実した仕事を続けられるのだろうか?」

「大切な人材を失っていく可能性が大いにあるのでは?」

「人材を失うともっと現場は業務に追われ、笑顔を失い、心身共に疲弊して悪循環になるのではないだろうか?」

「大切な職員の大切な家族との生活にも影響が出てくるのはないだろうか?」

 

2025年には約38万人介護人材が不足すると言われており、介護にかかる負担は一層増大していく一方にあります。

 

「移乗介助で起きうることを、今からできるところから変えていかねば!」

 

このような現状を少しでも変えていくべく、このブログやセミナーを通じて打開策をお伝えしたり、皆様と考えていけたらと思ってます(^^)

次回からは図や写真を積極的に入れて詳しく対策などをお伝えしていきますので、よろしくお願いします!

 

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plannetniigata@gmail.com

 

【プラネット新潟の活動内容】

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◇セミナー活動 「らくらく移乗介助技術」「誤嚥予防のための環境作り」「住宅改修のコツ」「福祉用具の選定方法」などなど

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2 thoughts on “「移乗介助の考え方:その1」移乗介助にまつわる怖いこと!?”

  1. いつも拝見させていただいています。なぜ福祉用具は流行らないか。それはオーストラリア人のように100キロ以上体重があれば普及する。小柄だからなんとかなると思うわけでしょう。業務が忙しくシートは面倒。折りたたむ暇がない。じゃあスライディンググローブは?それくらいなら自費購入し、ポケットに入れていればと提案しても、日本人の協調性が邪魔してスタンドプレーと思われるからという。まだまだ知らない人が多いスライディンググローブ。いまの介助でも上に滑らすグローブがあれば、すこしは助けになりませんか?それを実際の現場で働いているホームの方に聞いてみたいです。

  2. アヤ様
    コメントありがとうございます^^
    アヤさんがおっしゃる通り流行らない要因は色んなものがあると私も思います。

    「何とかなってる(正確にはなっているように感じているだけで悪い方にじわじわ持って行っている)」
    「時間を短縮できる」
    「1人だけ見慣れない物を使って正しいことしてるとしてもリスクを懸念されてしまう」
    「組織の業務システムや理念の問題」
    「組織の教育システムの問題」
    「組織の雰囲気・人間関係」
    「教えられる人がいない」
    「知識・観察力・考える力・実践力不足」
    「パワー介助と有効的な福祉用具を用いた場合とでこの先起きうることがわからない」
    「そもそもグローブや福祉用具を知らない」
    などなど。。。

    私も知ってるけど使わない・使えていない原因を、生の声を色んな方にお伺いしたいです^^

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