新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

食事に手をつけない人の事例紹介

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食事介助で、

 

身体機能はさほど問題ないけど認知症を持ち、

配膳してもご飯を食べようとしない。

 

あの手この手でアプローチするけど、中々上手くいかない。

 

そしてしびれを切らして介助しようとするけど口を開けない…

 

結果として食事に時間がかかり、その後の業務が押す

(そして職員はストレス)

 

なんて経験はないでしょうか。

 

 

大変ですよね。

認知症とわかっていてもストレスも溜まる。

 

 

 

 

その人の状態にもよりますが、

私がアプローチしてうまくいった事例を紹介します。

 

 

それは、

「利用者と一緒に食事をする」

以上。

 

これだけだと説明不足だと思うので説明します(笑)

 

 

認知症を持つ利用者が、

 

出された食事に無反応

皿をいじって倒す

おしぼりを食事に突っ込む

ご飯におかずや汁をかける

 

というような様子があるとしたら、

 

 

目の前の食事が何なのかわからない

(食べ物だという認識がない)

食器の使い方がわからない

それぞれの皿・お椀が何かわからず、別のもの(花瓶など)と思っている

 

等の可能性を考えます。

 

 

中核症状である

 

記憶障害

失認

失行

 

あたりでしょうか。

 

 

なので、

食事ということがわからなければ、

食事だと認識させる。

食器の使い方がわからければ、

食器の使い方がわかるようにする。

お皿やお椀を何かと誤認しているようなら、

誤認しないような工夫をする。

 

利用者の様子を見て、

 

どこがわからないのかを見極めるのです。

 

あとは、その「わからない部分」のアプローチです。

 

 

 

 

認知症を持つ人は、目の前の事柄に対し、

 

今頭に残っている記憶や体験を元に、最適だと思う行動をとります。

 

例をあげると、

 

緑の葉っぱみたいなの(副食のおひたし)がある

ここには水の入った容器(味噌汁)がある

そうだ、水やりをしよう

おひたしに味噌汁をかける

 

といった感じです。

 

食事ということが抜けていれば、容器に入った葉っぱや汁を見て、そう認識してしまうことがあります。

 

 

本人に悪気はないのですが、だからといってそのままにもできません。

 

 

 

 

私の場合、利用者の隣に座り、

 

「私もここで一緒にご飯食べていいですか?」

 

と、隣でご飯を食べます。

大げさなリアクション付きで。

 

しかも、カレーやパスタなどの割とニオイがあるものを。

 

で、合間に、

 

「●●さんもご飯冷めると悪いから食べてください」

 

と声をかけます。

 

隣で大げさに食事をすることで、

 

 

食べ物という認識も伝えられるし、

動作を見せることができるし、

隣で強いニオイの食べ物を食べることで嗅覚へのアプローチもできます。

 

 

人相手なんで100%ではないですが、この方法で自分で食べてもらうことができました。

 

 

他にも、

器を変えてみたり、副食をご飯にのせて(混ぜるんじゃなくて)丼物にしてみたり、

箸じゃなくて割り箸を使ってみたり等、

 

工夫は沢山あります。

 

中核症状に加えてその人の食事習慣はどうだったかを調べ、なるべくそれに近い環境を用意するのです。

 

ここも大事なポイントです。

 

だって、何十年も生きていて、様々な経験が染み付いた人間ですから。

 

 

 

 

食べないからといきなり介助するんじゃなくて、

(そもそも食べ物の認識がなければ口開けないだろうし)

 

理由を考えてから工夫を考えてアプローチすることで、認知症の人でも自身の力を使うことができます。

 

 

もちろん人相手だし、人の数だけ背景も違うので

「これが確実」というのはないですが、

 

そういった背景を分析するのも結構楽しかったりします^_^

About the author

rockkaigo

介護福祉士、介護支援専門員。業界18年の現役介護職員。 音楽、スケボー、スノボ、ラーメン、スーパーの半額タイムをこよなく愛する40歳。

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