新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017
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寝たきり老人さんの身体に起きていること ⑧ 筋緊張の亢進3 福祉用具や地球の引力による筋肉の過伸長に対する立ち直り


 あっという間に2018年も半分過ぎようとしています。このブログ、随分長くお休みをしてしまいましたが再開しますね。ここまでまとめて決まりをつけないのはもったいないですもんね。(ネット上や対外的な仕事では飄々としてますが、リアルではいろいろありまして(^^; )


 前回までに、寝たきり老人さんの身体に起きていることとして呼吸抑制にまつわるお話をまとめ、続いて全身の筋肉がこわばっていく原因を2つ、まとめました。今日は、筋肉が緊張していく原因の3つめ、です。まず最初にタイトル風に表すと『地球の引力や不適切な福祉用具の設定による筋肉への過伸長に対する立ち直りや防御反応としての筋緊張の亢進』となります。これじゃ何のことか?さっぱり分からないと思いますので、以下に説明していきますね。

 まずは福祉用具の不適切な設定~使い方により、筋肉がこわばっていく様子です。一番分かりやすいのは、車椅子の足乗せ板「フットサポート」でしょうか?
車椅子のフットサポートは、写真で見る通り「座面前端よりも前方」に位置しています。これは、キャスターがくるくる回転した時にぶつからないようにこうなっています。となると、車椅子に座ってフットサポートに足を乗せると、膝関節は直角に曲がった状態よりも少しだけでも伸ばす方向に引っ張られます。座っている人の身体(筋肉)が十分に柔らかければ何の問題ありませんが、その方の身体柔軟性を超えて引っ張られると、「辛い状況」になります。この場合、引っ張られるのは「膝を曲げる筋肉:ハムストリングス」と呼ばれる筋肉群で、この筋肉は実は骨盤から起きています。骨盤~股関節~膝関節~下腿骨と筋肉が走っているわけです。ですから全身姿勢としては、可能な範囲以上に膝関節とハムストリングスが引っ張られると骨盤が後方に引き倒されて「円背やずっこけ座り(座面上でお尻が前方に滑る)」ということが起こります。

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 それと同時に、引っ張られ続けるハムストリングスが「防御反応」として、かえって強く縮もうとします。縮もうとするからこそ、骨盤後傾とすべり座りが生じる、という言い方もできます。つまり、「不適切な福祉用具の使い方、設定が筋肉をこわばらせていく」ということが起こるわけです。
同じような状況として、「寝たきり老人さんの手足に枕を挟んで強引に広げようとしている」という場面があげられます。一番多いのは「閉じて開かない股(股関節)に対して、左右の大腿の間に強引に枕を突っ込み挟み入れ、押し広げる」かな?これをやると、股関節はかえって激しく閉じていこうとしていきます。「無理に挟んで広げる」というケアは、基本的にはかえって状況を悪くしていき最後には骨折事故を引き起こすものですから、本来はしてはいけません。(では、どうするか?は、この終わりの見えないブログでいつかまとめます(^^; )

 次は福祉用具ではなくて地球の引力に対する立ち直りとしての緊張亢進です。これは前回の「重力不安による屈筋群亢進」とほぼ同じ、でも、屈筋群だけじゃないですよ、というお話です。例えば寝たきりレベルになると、下肢が屈曲拘縮気味になる方が多いです。これには前回まとめた「床面側の筋肉が緊張していく(仰臥位において膝を曲げるハムストリングスが床面側)」ということがきっかけだったりするわけですが、いったん曲がって持ち上がった両下肢が、続いて横に倒れていこうとします。床面にエアマットが敷いてあったりするとフカフカですから、なおさら簡単に横に倒れ込んでいきます。でも、曲がった下肢が横に倒れて骨盤もそれに引かれて一緒に回旋すると、今度は呼吸が苦しくなります。骨盤から体幹が捻じれると、横隔膜や胸郭の動きが抑制されていきますからね。ですから身体は、「曲がったままの下肢が横に倒れていかないように、立ち直ろうと体幹筋が頑張る!」ということが起こります。「立ち直り」と書けば良い反応のような印象ですが、要するに「立ち直るという形で筋緊張亢進していく」のです。「フカフカのエアマットの上に寝かせておくと、まったく身動きできなくなると同時に身体がこわばっていく」これは現場で長年頑張っている方々には広く知られた事実です。
ちなみに、この現象(エアマット上で身体がこわばってく)を解消する一つの手段が、「臥位姿勢時のポジショニング」となります。


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