新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017
とんでけ

自分のパラダイム/専門図式への自覚はありますか?その1


 これは、「ちょこっとブログ」には少々重いテーマですね。でも、このブログの「ここまで」(=総論部分)のまとめ的なお話しなので、お付き合いください。もしかしたら、一回で終わらないかもしれません。


医療の基本的なあり方
突然ですが、例えば自分の身体の具合が悪くて内科医院に受診したとします。そこには外来看護師さんがいて内科医の先生がいて、血圧診て体温計って聴診して触診して血液検査して、結果を見て内服薬を処方してもらえる、って当然の流れですよね?

 そこでね、突然、看護師さんが具合の悪い自分を見て「モノノケが憑いてる~!」て絶叫して悶絶しだしたり、内科医の先生がバッサバッサなにか振り回しながら呪文を唱え始めたら、そりゃ「ここはヘン!」てなりますよね?w

 医療機関による疾病治療(医療)は自然科学の一領域の医学という学問に基づくサービスであり、自然科学というのはその特性として、
・「客観性」(関わる人の主観や価値観で解釈や対応が左右されない)
・「再現性」(誰が関わっても同じような結果になる)
・「数値化」(比較しやすい)
・「合理性論理的」(無駄が少なく、因果関係がはっきりしている)
・「要素的機械的な見方」(自然界のできごとは一つの出来事が一つの結果を生んでいく、その総体)
といったことが重視されます、というか、これらの条件を満たさないと「科学」とは認められません。バッサバッサと振り回しながら呪文を唱えて回復を祈る、というのは、やってる本人がどんなに信じていて真剣であっても、科学的じゃないんですね。


介護の基本的なあり方
ところがこれが面白いとこなんですけれど、介護とか生活支援の場においては、「何かをバッサバッサと振り回しながら呪文を唱える」的な対応も、時と場合によっては『大いにアリ』なんですね。ちょっと誤解を招きそうですけど、介護は非科学的で良い、とかいうつもりはないですよ。「科学的であることが全てではない」ということです。バッサバッサはあり得ないかもしれないけど、例えば頭をぶつけて泣いている子供にお母さんが優しく頭をなでながら、『痛いの痛いの飛んでいけ~!ほーら、もう大丈夫!』って対応している様子は、微笑ましくはあっても「非科学的だ!」と非難する人はいないと思います。まぁ、これをそのまま高齢者に当てはめるのは、ちょっと子供扱いし過ぎではありますが(^^;

とんでけ

可愛いですね (^^)
太田知子の毎日プチハッピー♪ななとひよこの散歩道
http://happy-moko.tea-nifty.com/blog/2011/11/post-f5ac.html から。
ここと違って、なんだかほっこりするブログです

 もちろん、その子供さんの頭蓋骨に骨折が無いか?数時間後に急性硬膜下血腫症状をきたすことはないか?医学的科学的に注意深く観察していく必要はあります。でも、そのことと優しく「痛いの痛いの飛んでけ~」て対応することとは別のことで、別々のニーズを満たしているわけです。それこそ痛がってお母さんにしがみつきながら泣いてる子に、「お医者さまが骨折もないし腫脹(たんこぶ)も数日で引くっておっしゃっているから大丈夫なのっ!」てイライラしながら言って聞かせている母親がいたら、むしろそっちがちょっとヘンです(^^;


専門職のパラダイム/専門図式ということ
近年、介護の世界では「寄り添う介護」ということが盛んに言われます。このワードも考察の余地と価値の大いにある言葉だと思いますが、少なくとも「寄り添う介護」というのは、『科学的介護』というよりは『痛いの飛んでいけ~』の世界に近い価値観だと思いませんか?それこそが「精神科医療」とは別に、考えられ実践されている「認知症介護」の『価値』だと思います。つまり、今すでに介護は、医療とはまた異なる価値観や考え方ができるようになってきている、と思いますし、そのことを医療の側もすでに無視できないほどに、ちゃんと「実績」も出してきている、と思います。
ところが、この「寄り添う介護」という考え方/理念を、精神科医療に従事している医療者に伝えようとすると、時には「何ですか、それは?w 何をどうすることが“寄り添う”ことなんですか?w」という態度をとられることがあります。このブログの読者の皆さまは、そういう態度の医療職者さんのことをどう思いますか?
「やっぱり医療職さんは分かってないよ!」とか「そういう医療者が介護に入り込んでくると面倒だよね、、」とか、反発したくなるところでしょうが、しみじみと「やっぱり介護と医療は違うよね、」という感慨が湧くのではないでしょうか?

 そうですね、従来の医療と現在の介護は、当然“同じ”ではありません。同じでない、というのは仕事内容が異なる、というだけではなく、(従事者さんごととその組み合わせ?によっては)根本の考え方や価値観に違いがあり得る、ということです。
医療の側では先ほど挙げた、「客観性」「再現性」「数値化」「合理性論理的」「要素的機械的な見方」といったことが、介護では必ずしも同等に重視はされないこともある、別の価値観があり得る、ということです。

 そういう状況を、医療と介護の間に「パラダイム/専門図式の食い違いがある」と言います。

「パラダイム/専門図式」とは、専門職が専門職であるその根本のところの無意識レベルの前提条件としての、思考の枠組みや価値観のことを言います。職種は異なっていても「パラダイム/専門図式」が共通ならば、議論や相談が成立し、一つのチームが組めます。ところがそれぞれの「パラダイム/専門図式」に大きな食い違いがあると、議論が成立せずチームも組めません。

そんな時、お互いのパラダイム/専門図式が食い違っていることに配慮せず、お互いに責めあっても何も生みだしませんね。

今回はここまで!次回は、「じゃぁ、どうするの?」というところをまとめます。


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