新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017
体操

「健康寿命」という考え方は諸刃の剣?!


 「健康寿命」と言う概念があります。単に死亡年齢が高いというだけではなく、より健康な自立した状態で年齢を重ねることができるか?というのが、「健康寿命」という考え方です。もちろん、健康寿命もより長いことが望ましいのは、間違いありません。また、介護保険法第一条にも「機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう・・」とあり、その実現のために「介護予防」ということが強く言われています。

体操介護予防のためにも健康の為にも、運動は大切です!

 ただ「それだけ」になっては、「寝たきりになることは失敗」ということになってしまいます。医学の立場や行政施策の立場からするとその通りなのかもしれませんが、日々支援にあたる介護の立場からすると、それではあまりに寂しい価値観です。第一回目にも書いた通り、「介護度5で寝たきりであっても褥瘡や拘縮がなく、発熱もせずに栄養状態も非常に良い」という状況は実現できるし、それこそが「介護度5なりの介護予防」ということだと思います。

 虚弱高齢者に限らず我々現役世代も含めて、健康増進/認知症予防/介護予防という考え方は必要です。しかしそれを絶対的な価値観としてしまうと、すでに認知症を発症しある程度進行してしまった方へのケアや寝たきり状態の方へのケアの仕事が、『ただの後始末』作業になってしまいます。そういう価値観のもとでは、重度な障害状態への方々への支援へ前向きな意識は待ちにくいのではないでしょうか?自分の仕事自体にやりがいや意義を感じることができるでしょうか?そういう意味で、健康寿命とか介護予防といった考え方/価値観は『諸刃の剣』だと思っています。

 俗にいう介護予防の視点は必要だし大切ですが、その価値観だけにとらわれるのではなく、柔軟な価値観であってどんな状態であっても変わらず等しく支援に臨める、ということも大切だと思います。そういう価値観の拡大/変容をもって臨むと、重度な寝たきりの方々に対しても、私たちにはまだまだできることがある、やるべきことがある、という事に気づきます。

 でもそうですね、そんな意識上の変化・考え直しよりも、実際にケアのやり方を変えてみたらこんなに状態が変わった!そういう実体験こそが、価値観の拡大/変容のきっかけになることが多いのかもしれません。


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