新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

高齢者の食事中の急変はすべて窒息ですか?


燕弥彦西蒲食支援ネットワークの高井です。

本日は高齢者の食事中の急変についてのお話です。

我が国の高齢者の窒息による死亡事故は世界的に見ても圧倒的に多いそうです。日本人だけが特別に窒息しやすい人種でも、窒息しやすい食べ物を好んでいるわけでもありません。そこには日本の医療・介護のシステムに原因があるのではないか言われております。

例えば、介護施設でいつものように楽しく食事をしております。職員のひとりがテーブルに倒れ込んでいる入所者を見つけます。びっくりした職員は急いで応援を呼びますが、すでに意識も呼吸も脈もありませんでした。介護施設は「食事中に突然倒れてしまった。窒息かもしれない」と救急車を呼びます。施設長は家族や保険会社に「食事中の窒息」と説明しました。

搬送先に駆け付けた家族は医師からこう告げられます。「食事中の窒息ではないかと聞いているが、死因を特定するには病理解剖を行う必要がある」と。それを聞いた家族は「窒息で苦しんだろうに解剖せずに安らかに送りたい」と言いました。

このたとえ話の中で「窒息」というワードがたくさん出てきましたが、実は誰も窒息の診断を行うこともなく、ことが進んでいることがわかります。もしかしたら、わたしたちは「食事中の急変イコール窒息」と思い込んでいるのかもしれません。

食事を開始すると消化吸収の亢進により心拍出量が増加します。心拍出量が増加すれば血圧は上昇し、心疾患や脳血管疾患などのリスクも上がります。

今回のたとえ話では、同室にいる職員が気が付かぬままに入所者は意識を失っていました。これが窒息の場合、声は出ませんが苦しさから激しい体動が数分間続きます。同室にいて気が付かないということはないでしょう。原因が心疾患や脳血管疾患であれば、誰も気が付かないまま意識を失うこともあるかもしれません。

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燕弥彦西蒲食支援ネットワーク

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