新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

在宅というフィールド


燕弥彦西蒲食支援ネットワークの高井です.

普段の診療は外来をメインに行いながら訪問診療を行っています.

訪問診療には施設訪問と在宅訪問があります.

施設には常時医療・介護の専門職がいますので,検査の結果に驚くこともあまりありませんし,その後のフォローもスムーズに行えます.

しかし在宅にはご家族しかおりませんので,同じ訪問診療でも在宅は別物です.

 

【在宅患者さんのあるケース】

・80代男性,特筆すべき既往歴はありません.

・主訴は食事中のむせと食事量の減少・食事時間の延長

・食事は家族と同じメニュー(常食)

・移乗は介助,活動性と声量は低く発話も少ない

・指示理解はあるが,小さな声でイエス・ノー程度の返答

・身長160cm,体重43kg(数か月で5kg減少)

 

嚥下障害は様々な病気が原因で生じますが,この方は嚥下障害にかかわる既往も基礎疾患もありません.

下の画像は嚥下機能評価を行った際の検査映像のスクリーンショットです.

画像は喉の中の状態です.健常な方はカメラのレンズの手前で嚥下運動が生じますので,映像に飲食物が映ることはなく,このように喉の中に貯留することもありません.

VE

普段召し上がっている常食(米飯)は処理できていないことがわかります.米粒も原形のまま喉に入ってきており,咀嚼能力も低下していることもわかります.

ゴクンと一飲みするところを,時間をかけて何度も嚥下しているため,食事時間が長くなり,食事中や食後に残留したものでむせると考えられます.

 

このように喉に残留した場合

・空嚥下を行う

→何度やっても処理できません

・エヘンと吐き出す.または位置を変えて再び飲み込む

→声量の低下もあり吐き出すまでの喀出力がありません

・性状の異なるもので洗い流す

→ゼリー,とろみ水と試しましたが処理できません

結果,残留物を吸引しました.

 

歩行や移乗と同じように,飲み込むためにも筋力が必要です.筋力や筋量の維持に必要な栄養が不足していたことが嚥下障害の原因でした.嚥下機能と食形態の不一致で体重が減少し活動性も低下,それに伴い嚥下機能もさらに低下した症例です.

この方はご家族が協力的でしたので,高カロリーゼリーをメインに摂取してもらうことで体重も増加傾向に転じ,全身の活動性とともに嚥下機能も改善しました.現在では喉の残留も少なく,多少喉に残ったものは「かぁーっぺっ!」と吐き出せるまでになりました.さらには歩行も以前より安定し声量もアップしました.

このようなケースは介護施設ではほとんど診ることはありませんが,在宅高齢者の低栄養は潜在的に多いケースだと感じています.


About the author

燕弥彦西蒲食支援ネットワーク

『燕弥彦西蒲食支援ネットワーク』とは、燕市、弥彦村、西蒲区の医療・介護・行政の多職種で地域の食支援体制の構築を目指す勉強会グループです! ホームページはこちらです.  

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