新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

新人職員の様子が気になったら


今年度も複数の法人で新人・指導者育成をお手伝いさせてもらっています。
新人育成を何年か続けていると、毎年同じような現象に遭遇します。
今の時期、新人はどのような状態になりやすいのか。
そうなってしまったら、どうすればよいのか。
自分自身のおさらいの意味でも、かんたんにまとめてみようとおもいます。

1.新人の意欲がないように感じる…それは「バーンアウト」「ボーアウト」かも。
目の前の仕事に一生懸命になりすぎて燃え尽きてしまい、意欲を失ってしまうのが「バーンアウト」。
仕事がつまらない、仕事の意味が感じられないために意欲を失ってしまうのが「ボーアウト」だそうです。
大卒で介護福祉士も社会福祉士も持っていて、「デキる」新人職員が入職、数年で退職してしまうケースを結構耳にしますが、これは結構「ボーアウト」してしまっているんじゃないかなあ、と思っています。

2.新人が戸惑っているように見える…それは「リアリティショック」かも。
最近、言葉の意味が拡大解釈されて使われている部分があるように思いますが、要は「入職してみたら思っていた仕事と違った…」というのが、リアリティショックです。
昔と比べたら、「思っていた仕事と違った」という新人さんは減っているように思いますが、OJT前にどのような事業形態なのかを新人に説明するそれは、とても大事なことだと思っています。仕事の意味をしっかり理解してもらうことや、入職後のキャリアパスについて話し合い、アドバイスをすることが大事で、これは管理職の方に頑張っていただきたいし、業務を離れてじっくりと話をする時間と場所を作っていただきたいと思います。 介護の仕事は配属される事業所によって、仕事の内容やご利用者の状態が大きく異なります。特養とデイサービス、訪問介護、同じ介護でもそれぞれ大きな違いがあります。介護経験のある新人さんであっても、デイから特養に入ったりすると「思っていたのと違う!」ということが起こるので、OJTが始まる前の説明をしっかりと行っておくことが必要だと思います。

3.新人がいつも慌てている、仕事が雑になった…それは「同調行動」かも。
新人職員は、入職直後は指導担当者や周りの職員さんに仕事を教えてもらい、利用者にも優しくしてもらえるので、安心して職場で過ごすことができます。
しかし、配属から1~2ヶ月すると、1人で業務を行う時間が増えてきます。
この頃から新人職員の不安が増大し、モチベーションを下がってくるのです。
この時、新人の不安に大きく関係しているのが、受け入れチームのメンバーの態度や行動です。 新人が来てしばらくの間は、新人の目もあって丁寧に仕事をしていたメンバーも、時間がない中で仕事に追われ、新人から見るとものすごいスピードで業務を行なっていくようになります。
新人は、ほかの職員に迷惑をかけられないという気持ちが強くなり、周りの影響を受けて利用者よりも職員の方を向いて速さ重視のケアを行うようになっていきます。いくら言葉で「ゆっくりでいいんだよ」と言っても変わりません。
新人は、空気を読んで周りに合わせているのです。
これが、同調行動です。
こうなってしまっているときは、とにかくチームのメンバーみんなでこの現象がなぜ起こっているのかを理解し、みんなで丁寧なケアを心がけることが大切です。
特に指導担当者やリーダーは、優しい新人さんの気持ちに寄り添ってあげてください。

4.まとめ:チームで新人を育てよう
ここまで書いてみて、あらためて現場任せでojtばかり、という新人教育では、様々な背景を持った新人職員にチームの一員として成長してもらうことは難しいと思いました。
近年人材管理の分野で「オンボーディング」という言葉がよく使われるようになってきましたが、介護職の新人育成でもこの考え方にならい、管理者を含めた様々なメンバーが新人と継続的にかかわり、スキルとメンタル両面からの新人育成をしていけるようになるといいなと思いました


About the author

斎藤 洋

新潟県在住|介護現場の人材育成支援|介護福祉士・社会福祉士・学士(心理学)・修士(社会福祉学)・日本社会事業大学大学院博士課程在学中| https://twitter.com/hiroshithenet

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