ショートステイで看取る


「最期まで看る」という約束が、取り組みのきっかけ

地域包括ケア」への取り組みが始まりました。医療と介護の連携を図り地域で支えていくためには、在宅サービスの中でも、ショートステイの役割の大きさを感じています。単独の短期入所生活介護と通所介護の複合型施設を開設して10年目に入りました。3年ほど前からショートステイで看取りに取り組んできました。
なぜショートステイでターミナルの方(余命わずかになってしまった方)たちを受け入れることになったのかと申しますと、ある利用者様が認知症を患い、数年間は介護サービスの利用をせずになんとか自宅で家族の介護で生活していたのですが、症状の進行とともに夜間の徘徊などで自宅での生活が難しくなり、ショートステイの利用の相談がありました。その時ケアマネージャーさんから、「最期まで看てくれますか」と言われ、「はい」と答えたことから始まりました。そのご利用者様は、なにしろ医者嫌いで受診もできず、介護サービスも全く受けていませんでした。いよいよサービスを利用する事となりましたが、初日から不穏行動で昼も夜もマンツーマンで対応し、3日程でなんとか落ち着いてきました。
しかし気になることがありました。利用開始時から血尿があり、排尿時のうなり声などから家族に受診をお願いしました。泌尿器科を受診したところ末期の膀胱がんであることが判明。しかし、認知症もあり治療は困難と判断し、何もせず、泌尿器科の先生のフォローを受けながらこのままショートステイで様子を見ることにしました。始めは食欲もなく元気もなく心配しましたが、今まで飲んでいた認知症の薬をすべてやめて、栄養剤を飲んでもらうことで、徐々に元気になり食欲も出てきました。
しかし癌の進行は早く、3ヶ月が経った頃から排尿時のうなり声と血尿の量が増えてきました。ご本人は痛みの訴えもなく、いつものように過ごしていましたが、いよいよ排尿も困難になり、泌尿器科で導尿処置をしていただくも抵抗が強く、拘束してまでの治療は望まず、ショートステイですごす事になりました。
「最期まで看ます」と約束したこともあり、ご家族の希望から施設で看取りました。この頃同時に老衰の利用者様の看取りも重なり介護はとても大変でしたが、みんなで協力しながらなんとか乗り切りました。この経験から、ターミナル期の介護に取り組むようになりました。多い月で7人ほどのターミナル期のご利用者様を看ながら、毎月のように看取りに取り組むようになりました。

苦しみなく、穏やかな最期を迎える支援ができれば介護職としての幸せです(樋口介護福祉士)。
苦しみなく、穏やかな最期を迎える支援ができれば介護職としての幸せです(樋口介護福祉士)。
天気のいい日は中庭でのんびり・・・。一人ひとりと今日一日を精一杯寄り添う介護を心掛けることでより良いケアとなります。
天気のいい日は中庭でのんびり・・・。一人ひとりと今日一日を精一杯寄り添う介護を心掛けることでより良いケアとなります。

嘱託医や在宅医・主治医の協力が大きな励み

在宅でターミナル期を迎える時の不安は大きく、認知症を併発していると、入院しても拘束して治療をするのか、最期まで自
由に過ごせるのか…など、困っている家族の声を聴く機会が増えました。そんな相談助言をする中で在宅生活を継続しながらターミナル期をショートステイで過ごし最期を迎えられるような支援をしています。
これからは地域で最期まで支えられる社会になる事を願い、これからも家族の支えになりご家族と一緒にご本人を支援できるよう努力してまいります。

新潟市秋葉区、近隣の地域を中心とする医療と介護の連携を図るためのツールとして「手帳委員会」を立ち上げ活動しています。
新潟市秋葉区、近隣の地域を中心とする医療と介護の連携を図るためのツールとして「手帳委員会」を立ち上げ活動しています。
医療機関や介護サービス事業所が利用者情報を共有する地域連携手帳
医療機関や介護サービス事業所が利用者情報を共有する地域連携手帳

プロフィール|Profile

介護福祉士 樋口美和子

 

株式会社ふれあいの杜 常務執行役員:人材育成、他
4事業:県内9施設の運営/デイサービス3ヵ所、ショ
ートステイ4ヵ所、介護付き有料老人ホーム2ヵ所、
グループホーム3ヵ所
〒956-0113 新潟市秋葉区矢代田3316-1
TEL/0250-38-1131 FAX/0250-38-1132
URL/http://www.fureainomori.co.jp/


About the author

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

カテゴリー

アーカイブ

最近のコメント