地域包括支援システムという『まちづくり』


『まちづくり』という言葉は、私たちの高齢者福祉の分野でも盛んに使われている(「高齢期を安心して暮らせる『まちづくり』」「認知症になっても安心して暮らせる『まちづくり』」など)。
現在、国策と言われている地域包括ケアシステム(左ページ図参照)は、単なる介護保険制度だけの問題ではなく、介護サービス、医療・介護連携、住まい、人材育成(専門職の資質向上、介護職の処遇改善)、生活支援・介護予防の、各分野に広く関連する、まさに『まちづくり』の問題として捉えられている。

『まちづくり』という言葉は、私たちの生活や暮らしの全般に関わっているが、整理すると「地域環境」「地域経済」「地域社会」の三つの要素に分類される。

これらの三つの要素が互いに関係しあい、支え合い、わたしたちのまちの暮らしのあり方を決めている。つまりそれが『まちづくり』と言われているものである。

「地域包括ケアシステム」の構築プロセスの具体策要素を「まちづくり要素」にあてはめてみると、

①地域環境 「介護サービス」、「医療・介護連携」、「住まい」

②地域経済 「人材育成」(専門職の資質向上、介護職の処遇改善)

③地域社会 「生活支援・介護予防」…と、捉えられるのではないかと考えられる。

まちづくり三要素

地域包括ケアシステムの姿

これからの高齢者福祉では、特に「地域社会」で支えあうことがますます求められ、社会資源を活用して介護の仕組みに結び付けていく『まちづくり』が求められてくる。

そのような意味でも平素から地域社会をしっかり見つめ、福祉施設や地域包括支援センターなどとの連携を図る努力も地道に重ねる『まちづくり』に参加していく必要がある。

「日本ケアマネジメント学会前理事長」の橋本泰子先生は、「介護福祉士も介護支援専門員も、制度の枠の中だけで仕事をしてしまう傾向がありますが、どちらも生活を支える専門職なのですから、福祉の視点で幅広く支援の仕方を捉えなければ、時代に対応した地域包括支援システムという『まちづくり』支援が出来ないと思います」と言われていた(「おはよう212013年12月号/P27」)。
私たち高齢者福祉分野の専門職も、より価値ある専門職として、存在感を出して生き残っていくためには、『まちづくり』という制度の枠を超えた「ソーシャルアクション」を仕掛けていく必要があると私自身は考えている。

 

平出自己紹介写真

平出明彦(社会福祉士)

高校卒業後、運送関係の仕事を経験したのち、22歳の時に特別養護老人ホームの期限付き介護職(8か月)に採用。その後、施設介護職を約6年、居宅介護支援事業所(管理者)を約7年経験したのち、平成22年4月から、三条市地域包括支援センター嵐北に勤務(社会福祉士兼主任介護支援専門員)。
平成25年度~つばめ若者会議(元代表)に参画、平成27年度~燕市総合計画審議会委員を委嘱。

つばめ若者会議の活動

※似顔絵は、当センターの鈴木泰子センター長から描いてもらいました。


About the author

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です