許せない認知症初期の軽視


介護を苦にして家族の命を奪う「介護殺人」は、介護を始めて3年以内に事件を起こしたケースが半数を超える53%、1年以内では26%と実に4分の1を占めていることがNHKの調査でわかりました。

認知症の介護家族に伺うと「初期から中期が一番大変だった」と返答する人が多いです。初期の頃、家族は病気への理解が不十分で対応に不慣れなので、戸惑います。家族が戸惑っていると本人にも伝わり、本人も戸惑ってしまいます。

認知症ケアでは「本人と家族は鏡」と言われるほど、家族の気持ちが本人の情緒に強く影響します。また、中期までは本人が多動な時期なので、その対応に家族は苦労を強いられます。

現在、特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の重度者のみ入所できます。これでは、家族が心身共に追い詰められている時期に入所できません。しかも、平成30年度の報酬改定では、要介護2以下の人を介護保険の対象から外し、市町村事業に移行することへの議論が進んでいる状況です。家族が大変であるはずの初期から中期の時期に理解がない国の方針には、強い怒りを覚えます。


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