新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

Vol.3 宝物は人それぞれ。


昔、学童保育のアルバイトをしていました。そこで出会った男の子…人付き合いが苦手な子で、楽しい雰囲気になるとわざと大声を出して騒いだり、迷惑をかけたりする子がいたんです。 他の先生から話を聞くと、ご両親が教師で、思うように甘えられてない、との事。奇行は彼の屈折した感情表現のようでした。 何か彼の心を掴めないかと考えたのは、当時人気絶頂のキャラクター。彼も大好きでしたから、ポケモンの図鑑を買って、毎晩描く練習をしました。 気がついたら五十種類は見ないで描けるようになってました。 わら半紙にそれを全て描いて、彼にプレゼントしました。彼はニッコリ微笑んで、「先生、これ僕らの秘密やで。僕これ宝物にするわ。」と大事にしまってくれました。 学童保育の任期も終わりの頃、彼が僕の前に、あの時プレゼントしたわら半紙をもってきました。そこには五十種類のキャラクター1つ1つに、丁寧に色鉛筆で色が塗られていました。消しゴムで消すのを失敗したのか、破れた箇所にはセロテープで修繕されていました。何よりずっと肌身離さなかったのか、その紙自体はボロボロになっていました。「先生これ描いてくれたやろ?これ僕の宝物やねん。」 彼の気持ちに僕の気持ちを重ねようとして頑張ったつもりでしたが、僕の方が大きな感動をもらいました。 キャラクターを見る度懐かしい気持ちになります。

 


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