憂鬱な感情。私はこの業界でやっていけるのだろうか…。
私は自分が、自分で信じて採用したスタッフに翻弄されている。本当に悩んだ。
悩んだ上で、同じ立ち上げスタッフの相談員を食事に誘い、思いの丈をぶつけた。その娘は私の話を真摯に傾聴した上で、こう語ってくれた。
「サッカーでも野球でも、名選手が即ち名監督とは限りませんよ。選手としては成功しなくても、監督として名を馳せる人も多いです。」
…。なぜか、腹に落ちた。この人はすごいことを言う。選手として一流でなくとも、指揮官として一流な人も、確かに多い。
私は弟子入りしよう。この目の前の女性に。先月採用したこの部下から、素直に学ぼう。プライドなんかない。名声も実力もない私には、彼女を心の師とすることで、頂を目指す。
それがあの時、足掻きもがいていた私が出した答えだった。
続く