新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

もしも、ひょんな事から介護事業所を運営することになったら⑥(もし介)


「専門家の通訳」になる…言ってはみたものの、彼らとの共通言語を持ち合わせることなく、私にそんなことが出来るのか…そんな考えが私の頭をもたげた。彼らの真摯な仕事ぶりを見るたび、私はなんて道に飛び込んでしまったのだろうと不安が増大するばかりだった。

 

専門家が集まり作り出す、仕事の世界。私は無資格で未経験。そんな私ができる、組織運営。それは一体なんだ。私に何ができるというのだ。

 

ふと、一人の利用者の話を看護師と介護士がしていて、やや小競り合いのようになっている光景を見かけた。私に仲裁ができるはずもないので、耳を傾けて聞いていた。なるほど、お互いの職域の中での正当性があり、それぞれの話は間違っているように聞こえない。しかしその時は、最終的には強い(その時はそう見えた)看護師の意見がやや力技で通り、介護士はぐっと堪える様子(その時はそう見えた)が伺えた。

 

何かうまく話が折衷できないか、お互いはお互いの中で物事を真剣に考えている。…ん?では、この話の対象になっている利用者さんは一体、何をお感じになるだろう…?

 

気がつくと私はこのような思考の中にいた。彼らの話を繋いでより良い答えを出そうとした時、必要なもう一つの視点、顧客側(サービスの受け手側)の視点。これをもっとも尊重する考え方が必要なのではないか?

 

私は素人だ。であれば、専門家が考えていることをナチュラルに顧客視点で受け取ることができる。感じたものそのものを伝えることができればそれは、そのこと自体が専門家の通訳になりうるのではないだろうか…?

 

「プロの素人になる」私にこんな考え方が生まれたのはこの時だった。

 

 

続く


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