新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

人員不足、人材不足が全ての希望をなくす


  先日、福島県の特養でのお仕事で、わかっていたことだけど、痛感したことがありました。
『人材不足はすべての希望をなくす』ということである。
その特養のスタッフはモチベーションが高く、非常に質の高い取り組みをしているし
後輩にも厳しくも意味のある指導を行い、離職も非常に少ない施設です。
見学するだけでもスタッフのあたたかさやこだわりが感じられるので、知り合いの施設にも何度か紹介させていただいているほどです。

そんなモチベーションの高いスタッフでさえも、人員不足にはかなわず、『どうしたらいいかわからない』という不安を聞きました。
今まで小さな愚痴や不満はあったとしても、あまり表に出さなかった彼らでさえも、人員不足には勝てないようです。

当たり前の話ですが、身体はひとつです。器用さにも限界があります。ユニットに一人対応で、コールが二つ同時に鳴ったらアウトです。
ナースコールを知らせるランプが5つ同時に光った時には、どうにもならずに、クリスマスのイルミネーションに見えたとか言ってましたよ(笑)
でもね、それが現実ですよ。

経営である以上、むやみに人を増やせないのもわかります。しかし、現実の現場は、かなり厳しいです。

そこで、人材不足の中でもなんとか工夫をしている事例を紹介します。

1 夜勤ができるスタッフだけにする
これは、求人しても夜勤可能なスタッフが来ないため、昼間だけなら働けるという職員を入れすぎた結果、正職員の仕事がほとんど夜勤業務になることで、いろいろな責任が薄くなってしまうジレンマが生まれます。
ある施設は、時間をかけて、夜勤可能なスタッフを入れることで、人件費の節減と、夜勤の負担の解消を手に入れました。

2 夜勤専門スタッフに夜勤を任せる
上記のパターンと逆で、夜勤帯と日勤帯をはっきりと分けて、夜勤ができる人には夜勤で稼いでもらい、日勤帯しかできない職員には、日中を守ってもらう、という取り組みです。
こういった割り切るパターンも、人材の定着につながるところもあるようです。

3 16時間夜勤よりも8時間夜勤
いわゆる通し夜勤をなくすパターンです。計算上、通し夜勤よりは少ない人数で取り組めるようですが、通し夜勤に慣れている職員には違和感はあるようです。
この切り替えに関しては、しっかりとした検証と、勇気と知恵と根拠を持って取り組んでください。

4 身体介護とその他の業務を分業する
かのドラッガーも提唱しております。サービス業は分業することで効率化につながると。(清掃スタッフ、運転手さん、など分業されたパターンに近いです)
分業化と、短時間で働くスタッフをうまく組み合わせることで、何でも屋状態になってしまう介護職員さんの負担を軽減するパターンですね。雇用がたくさん生まれるので、私は好きです。

5 職種によって、業務によって名称を変える、介護職員そのものの名称を変える
これは、求人テクニックとも言えますが、『介護職員』として求人してもなかなか集まらないので、『ケアアテンダント』とか『ケアコンシェルジュ』などと名称を変えることで
集まった、という事例はあります。

6 就職希望の職員を連れてきた人には、3万円手当て。1年続いたら3万円手当て。
3万円は少ない方で、もっと大きい金額のところもあります。内部の職員の紹介のケースは定着する確率が高いそうで、この方式を
積極的に取り入れている法人もありました。

とにかく、今は人口減少、震災復興、東京オリンピックなどで、介護人材が不足しているのは事実です。
これは経営的な問題であり、人員不足は、介護の質に大きく影響を及ぼします。
質の高いケアを提供するならば、最低限の人員は確保しないとスタートラインにも立てません。

理想論の前に、人員確保!!質の前に、人員確保!!ですよ。
量のあとに質が来る、というお話はまたそのうち。

知野吉和


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知野吉和

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One thought on “人員不足、人材不足が全ての希望をなくす”

  1. まさにそれーっ!人材不足で、疲れが、とれなくて、ストレス溜まるぅ~。分業大賛成です!以前の施設は用務員の方が、洗濯物一切やってくるました。掃除は業者さん。実習先はそれに加えて、入浴補助と、食事介助補助、送迎と、介護職員の他に雇用してました。夜警さんもいたし。今は…人材まで削減してますわ。

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