新潟の介護がよくわかる 総合ガイド2017

異動ってどうなん!?


 介護施設も年数を重ねると、ユニット異動やら事業所の異動なんかもあります。
その中には、昇進などもあります。

施設の人員的な都合や、期待を込めての異動、昇格が、そのまま、介護職員にとっての
退職の理由になってしまうことがたまに見受けられます。
異動とともに辞表を出されたり、リーダーや主任を任命されたとたんに辞表が出されるのです。

現場の職員に言わせれば、現場も知らない管理者が考えなしに異動なんかやるから退職になるんだ!
という不満を良く聞きますが、ある施設では、管理者も現場を知らないから、現場の主任クラスに任せているところもあります。
現場を知ってるから良い異動になるわけでなく、好き嫌いで異動をしてしまってまたおかしなことになったりする可能性もあるのです。

キャリアアンカー(仕事を選ぶ内的動機)の視点から見ると、介護職員が介護を選んだ動機は、お客様との楽しいやり取りをイメージして
この業界を選んでいるケースが多いという研究結果があるのです。

そういったキャリアアンカーを持つ人は、成熟度、熟練度が上がるほど、昇格や、異動よりも現場での自由度を求めるようになるのだそうだ。
要するに、リーダーや主任になるよりも、お客様との自由な時間を持てるようになることが、介護職員の望みなのです。
それが、介護職員へのご褒美なのです。

だから、介護職員が、楽しそうに、一生懸命やるのは、お客様との触れ合いが楽しいからなんです。
リーダーになりたくてがんばっているわけではないのに、管理者から、『あなたはしっかりやってるから、来年はリーダーよ』
などと言われた日には、はずれくじをひいたように悲しみ、リーダーになると同時に転職してまた現場からやり直すのです。
お客様との時間が少なくなるほど、やりがいを失うのです。
それでもがんばってリーダーや主任をやっている人たちが、息抜きをするときは
お気に入りのお客様のところに行って、甘えて、癒されてくるのです。

もう一つ、介護職の特性上、お客様との個別ケアで成り立っているため、異動すればまた一からやりなおしで、現場の介護職員にとっては、転職と同じ心境になるのです。
だから、同じ職場でも、異動したとたんに、新人に逆戻りをして、居づらくなるのです。これは、異動による心理的な負担だけでなく
新人育成体制が不充分な施設ほど、異動と退職の率は比例します。

じゃあどうしたらいいのでしょうか。

一つは、リーダー、主任が憧れの地位として、やりがいのあるものにすることが必要ですが、キャリアアンカーの視点から考えると

①介護職を選んだ理由を知る(キャリアアンカーを知る)
②マネージメントやリーダーシップをとることに興味があるかどうかを知る
③客観的に見て、リーダーシップやマネージメント能力があるかどうか。

動機には、内的動機、外的動機があるが、どんな動機であろうと、自分の将来的なイメージが管理者であれば、ラッキーですね。
ただ、管理者になりたい人が、適任者かどうかは別です。
逆にお客様大好き、現場の仕事大好きでも、管理者に向いている人もいます。

見極めるには、上記の①~③を確認することがまず第一歩です。

あとは、下手な人事で退職に追い込まないためには
①人数合わせだけの愚かな人事異動はしない(ぜったいに!)
②現場でがんばっているだけで、リーダーにしない
③異動や昇格は、しっかりと本人と相談をする。期待していることを告げて、理解してもらう。
④現場の人数に対するリーダーや管理者の必要数を研究する
⑤もし異動したら、新人と同じようにしっかり教育をする

③の昇格に関しては、年数で判断せず、素質を見抜いて、早めに上げたほうがいい人は上げたほうが力を発揮できます。
または時期リーダーとして期待をした時点で、本人にも伝えて、外部研修などでリーダーシップやコミュニケーションを積極的に学ばせてください。
④は、介護職員の中からリーダーを探すのはとても大変ですが、逆に、一人の強いリーダーがいれば、大勢の介護職員をまとめることもできます。
弱いリーダーで分散させず、強いリーダーを作ってください。それと同時に、そんな強いリーダーを引っ張っていける管理者でなければいけないけどね。

あとは、リーダーがリーダーとしての時間を業務中に持てるかどうか、ということがありますが、これはまた別の記事で。

ちなみにキャリアアンカーは、ちょっと難しい学問ですが、自分に当てはめて読んでいくと、なかなか面白いものですよ。あるキャリアアンカーの書籍に
『介護職員は、自分のキャリアが上司から承認されないと、ケアマネ、コンサル、教員の道を選ぶ』と書かれてあった。おれのことじゃん!!(笑)

 

知野吉和


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